「…………。」
私、は只今すっっごく不機嫌です。 何故かと言うとーーーーー。 ーーー愛の言葉ーーー
「HAHAH〜〜N!今日も凪はかわいいNaっ!!」
「え……っ!?あの……っ!?」 目の前で繰り広げられている光景ーーーーー。 「あ〜〜〜、またあの先輩は凪にちょっかい出してんのか……。」 いつの間にか隣にいた清熊もみじがため息混じりに言う。 「いつも大変だな…、お前も……。」 ハイ。ここで説明入れましょう。 何が大変なのか、と言うと……。 今、目も前で凪ちゃんをナンパしている虎鉄大河先輩は…私の彼氏…なんです……。 私は…、そう思ってるんですけど……。 普通、自分の彼氏が目の前で他の女の子ナンパしてて、何も思わない子はいませんよ。 しかも、それが毎度の事なんですよ……?
「はぁ〜〜〜、私、返事間違えたかなぁーーー……。」
肩をガックリと落としてが言う。 「大丈夫だって……!檜に占ってもらったじゃねぇか!『障害は多いけど真実の愛』って出ただろっ!!檜の占いは当たるんだぜっ!!」 「うん……。」 そうだった。 虎鉄先輩に告白された時、嬉しくて、信じられなくて、檜ちゃんに占ってもらった……。 結果も良かったし、自分自身虎鉄先輩が好きだったので、OKの返事をした。
でも、それ以降何も変わってないよ……。
いつまでも私達は先輩と後輩で……。 部員とマネージャーの関係でしかない。 別に、彼氏と彼女の関係になったからって、急に仲良くなったり、一緒に帰ったりしなくてもいいけど…、やっぱり何か”証”が欲しくなる時だってあるよ……。
「は本当にイイ子だな。」
突然、もみじが言う。 「え……?」 「だって、いつも目の前であんなの見ても、文句一つ言わねぇじゃん。俺だったら、ぶん殴ってるね。」 「……そんなんじゃ…ないよ……。」 そんなんじゃ、ないの……。 怖いだけなの…、嫌われるのが……。 不確かなつながりでも、無くしたくないの……。 少しだけでも、つながっていたいの……。
本当は、あんな光景見たくないんだけど……。
だけど、マネージャーだから、毎日仕事はある。 行ったら必ず見る事になる。 でも、少しでも先輩を見ていたいから行く。 悪循環……。
「あ…あの……。さん、すみません……。」
気が付くと、凪がすまなそうに話しかけて来ていた。 虎鉄のナンパから解放されたようだ。 「ううん。凪ちゃんのせいじゃないよ。」 ニコリと笑って答える。 凪も、が虎鉄の告白を受けた事を知っているので、毎日心を痛めているようだった。
「でも…、そろそろちょっとキツクなって来たかな……。」
ポツリ…、と聞き取れるか聞き取れないかの声ではつぶやく。
自身、本当に限界に近かった。
自分は今でも好きだが、相手に愛されている自信が無い。 不安で今にも押しつぶされそうだった。
「ちょっと休んでくるね……。」
マネージャーの仕事も一段落したので、もみじ達に一言言って、は人目の無い校舎裏の方へ行った。
「…………。」
そんなの動きを見ていたのが、グラウンドにいた虎鉄大河ーーーーー。 の事が気になったのか、マネージャ達の方に歩いて行く。 「Yo、はどーしたんDa?」 「休憩だってよっ!!」 問いかけられてもみじは、軽く虎鉄を睨み付け、冷たく答えた。 「そーKa……。」 虎鉄は額に手を当て、少し校舎裏の方を向いた。 「あの……。」 少し遠慮気味に凪が言葉を発した。 「虎鉄先輩……。もう少しさんを大切にされた方が良いと思います……。虎鉄先輩が何気なくしている行動が、さんを傷つけている事もあるんですよ……。」 その言葉を聞いて、しばらく虎鉄は黙っていたが、やがて、一つ息を吐き、校舎裏へ歩いて行った。
「大丈夫なのか?あの先輩……。」
もみじが心配そうに言う。 「きっと大丈夫ですよ……。」 「大丈夫…かも……。」 凪と檜が言う。 三人共、校舎裏の方を見つめていた……。
「ふっ…く…ひっ…ふぇ……っ。」
はその頃、校舎裏で泣いていた。 (今まで虎鉄先輩も私の事好きでいてくれてる…って思うようにして来たけど…、もう、それもつらくなっちゃった……。信じれば信じるほど悲しくなるんだもん……。まだ…、虎鉄先輩の事は好きだけど…、別れる…しか、ないのかな……。) 膝を抱えてそんな事を考えていると……。 ザッ…… 背後で急に音がしたので、ビクリッ、とした。
「……泣いてんのKa……?」
それは聞き間違いようの無い、虎鉄の声だった。 「……っく、泣いてなんか…いません……っ!!」 必死にこぼれ落ちる涙をこらえながら、虎鉄の方は振り返らずに言う。 「泣いてるじゃねぇKa……っ!!」 の肩を掴み、こちらに向けさせようとした瞬間ーーーーー……。 「触らないで下さい……っ!!」 滅多な事では大声を上げないが叫んだーーーーー……。 「おいっ、……っ。」 「私は……っ!!」 再度、声をかけようとした虎鉄の言葉は、の言葉によってかき消された。 「私は…っ、虎鉄先輩に告白されて嬉しかった……っ!!虎鉄先輩の事が好きだったから…嬉しかった……っ!!」 一言叫ぶごとに、涙がポロポロとこぼれ落ちた。 「でも…、虎鉄先輩は…、ちっとも私といてくれない……っ!!いくら”イイ子”って言われようが…、私だって虎鉄先輩を独り占めしたいって思うよ……っ!!私だけを見てて欲しいって思うよ……っ!!」 「……。」 はこんなに悩んで…、苦しんでたのKa……? こんなに…こんなに心が破裂するまで自分を追い詰めていたのKa……? それなのに…、オレはそんなの苦しみにも気付かずに、毎日のように凪に声かけてたってのKa……?
最低だNa……っ!!
クソ……ッ!!
「虎鉄先輩……。あの告白は冗談だったんですか……?私をからかっていただけなんですか……?」
泣いて泣いて…、かれた声で聞いて来る。
違う…、違う…っ、違う……っ!!
「違う……!本気Da……っ!!」 気が付けば、膝を抱えて座っているを、後ろから抱きしめていた。
「信じてもらえないかもしれねぇGa…、今でも本気Da……。を愛してる……。」
抱きしめた背中がとても小さく感じられて、愛しく…、そして切なかった。 「……っふ……っ!!」 あの日告白されてから、初めて聞いた言葉ーーーーー……。 ーーーー「愛してる」ーーーー。
言葉ですべてが表せるものではないのは分かっているが、今のにとって、それは待ち望んでいた言葉だった。
「本当…ですかぁ……?……っ、私…、先輩を信じて良いんですかぁ……?」
抱きしめた肩がわずかに震える。 虎鉄は、を抱きしめている腕に少し力を込めた。 「あぁ、信じて良いぜ……。悪かった……。謝ってすむ事じゃないのは分かってるけど…、言わせてくれ……。すまねぇ…、オレのせいでお前の事いっぱい傷つけちまったな……。」 抱きしめたの肩に額を当てて言う。 「本当は…、怖かったんだ…オレ……。にどう接して良いのか分かんなかった……。少しでも間違った事をすれば…、もろく崩れてしまいそうで…、お前に嫌われるのが怖くて…、無意識の内に避けてたのかもしれない……。」 は虎鉄の言葉を聞き、少し顔を上げる。 「好きだから…、愛してるから…、お前に嫌われるのが怖かった……。」 虎鉄が泣きそうな声で言う。 「……先輩……。私も一緒です……。」 がポツリ、と言った言葉に、虎鉄も顔を上げる。 「私も…、先輩に嫌われるのが怖くて…、本当の気持ちを言えなかったんです……。」 抱きしめていた腕がゆるむ。 「我儘言ったら、嫌われちゃいそうで…、虎鉄先輩に嫌われるのだけは嫌だから……。」 がゆっくりとこちらを向く。 泣きはらした目は赤くはれていた。 頬にはまだ涙の跡が残っていたが、泣き止んでいた。 「本当…か……?」 虎鉄の問いかけに、はコクリ、とうなづく。 その瞬間、また虎鉄が抱きついて来た。
「ちょ……っ!?虎鉄先輩……っ!?」
きつく抱きしめられ驚く。 「好きだ……!……っ!!もう…、もう、不安にはさせねぇから……っ!!これからは、我儘でも何でも言って良いんだぜ……っ!!」 子供のようにただ強く抱きついてくる虎鉄ーーーーー。 「あの…、その……。じゃあ…、これからは時々”好き”っていう気持ちを言葉にして下さい……。言葉だけが全てじゃないのは分かってますけど…、時々不安になるんで……。」 少し照れた様にが言う。 「おぅ!約束するZeっ!!」 やっとを放し、を覗き込む。
「好きだZe!……っ!!」
最高の笑顔で言う。 「……はい。私も虎鉄先輩が好きです……っ。」 面と向かって言われて、少し照れたが、も微笑んで虎鉄に言った。 これからは、愛の言葉を紡ぎましょう……。 君だけに送る、愛の言葉をーーーーー……。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「ハイ!こっ恥ずかしい虎鉄ドリーム強制終了っ!!」 虎鉄・「……オイ……。」 ハム猫・「何ですか?」 虎鉄・「何なんだYo!この文章Ha……っ!!駄文にも程があるZe……っ!!」 ハム猫・「いやだなぁ、毎度の事じゃないか♪そう怒らずに……☆」 虎鉄・「(……キモ……!)毎度の事って…、自分で言ってて虚しくないKa……?」 ハム猫・「だって本当なんだもぉ〜〜〜ん。…それより、話の後半(?)の虎鉄先輩のセリフ、語尾変換されてないのはめんどくさいからじゃないんですよ。シリアス(?)なセリフは普通に話さないと説得力無さそーだったので……。」 虎鉄・「悪かったNa……。」 ハム猫・「まぁ、何だか書いていくうちにどんどん分からないものになっていった作品ですが、こんなのにでも感想もらえると幸いです……♪」 虎鉄・「じゃあ、プリティーハニー達!ここでサヨナラは辛いけど、また会えるといいNaっ!!」 |