「じゃあ、お母さん行ってきます!」
そう言って元気に家を出たのは赤い頭巾がとても良く似合う少女、。
その為に、近所では「赤頭巾ちゃん」と呼ばれていた。 今日は、赤頭巾のおばあさんの家へ行くのだ。 おばあさんは体を壊していて寝込みがちな日々を送っている。 その為、時々こうやってお菓子やパン、お酒などを届けに行くのだ。
「その…、気を付けて行ってラっしゃいね!くれぐれも寄り道しちゃ駄目でスよ……っ!!」
そんな、元気に駆けて行く赤頭巾をハラハラ見守り声をかけるのは母、オル・ゴール。 この先にの身に待ち受けてるであろう…と言うか、確実に待ち受けてるって言うかむしろあっちからやって来かねない不安の種に、今にも心配で舞い倒れそうであった。 「……でも、私の出番はコレだけですし……。後はさんの身の安全を祈る事しか……。」 そう泣きながら、母オル・ゴールは家の中へと消えて行った。 The・北の都で赤頭巾 ーーー赤頭巾ってこんな話だったっけ……?ーーー
「〜〜〜〜♪」
一方、家を出発したは順調に森の中を進んでいた。 パンやお酒が入った籠を大事そうに腕に持ち、鼻歌交じりに軽快に進む。 おばあちゃん大好きっ子のは、今からおばあちゃんに会えるのが楽しみだった。 「おばあちゃん少しは良くなってるかな?今日はどんなお話をしようかしら。」 楽しみで楽しみで、ついついそんな独り言を言っていると……。 「よぅ、可愛いお嬢さん♪」
目の前にある木の陰から、一匹の狼男が現れました。
「…………?あなたは誰ですか……?」 森の中で純粋培養されたは、その狼男の目に宿っている裏心など露知らず、小首を傾げて問いました。 「オレはヴォーカルってんだ。それより、お前の名は?」 だんだんとに近づいて行きながら、狼男・ヴォーカルは問いかけました。 「私は。」 あっさりとその質問に答える。 「そっか、か。こんな天気の良い日にこんな森の中で何やってんだ?」 今やの目の前まで来て、の肩や腕に触れるヴォーカル。 しかも、ちゃっかり髪にキスまで落としてます。 はっきし言ってセクハラです。 「今日はおばあちゃんの家に行く所なの。このパンやお酒を届けなきゃ。」 そんな自分の状況に気付かず、のんびりと答えるは、そう言って腕に持っている籠を見せた。 「へぇ〜、旨そうじゃねぇか。ちょっと分けてくれよ。」 その籠の中身を見て、ヴォーカルはひょいと手を伸ばした。 しかし、そのヴォーカルの手から籠を引き離し、は言った。 「駄目よ!これはおばあちゃんの物だもの!あなたにあげる事は出来ないわ。」 上目遣いに少し頬を膨らますに上機嫌なヴォーカルは、ニッコリと笑って条件を持ちかけた。 「まぁ、そう言わずにさ。この道を少し外れた所に綺麗な花畑があるのを知ってるかい?そこの場所を教えてやるよ。おばあさんに持って行けばきっと喜ばれるぜ。」 「……本当……?」 そんな、上辺だけの人の良さそうな笑みに騙され、は恐る恐る聞いた。 「あぁ、本当だとも。」 そんなの問いに、大きく首を振る。 「…………。……でも、私お母さんに寄り道はするなって言われたし……。」 暫く考え込んで、母の言葉を思い出したのか、少し俯き加減に話す。 「あぁ〜〜〜、もうそんな事気にすんなって!親の言い付けなんか守ってても何も面白くも無いだろっ!?」 返答を渋るの腕をグイと掴み、ヴォーカルは森の中へと引き込む。 「ひゃっ!?ぁわわ…、ど、どこに……っ!?」 「だから、花畑行くんだろ!こっちだって!」 急な事に驚いてわたわたするを無理矢理に引っ張って、ヴォーカルは深い森の中を進んで行った。
「ふわぁーーー……。」
ヴォーカルに連れ回されて歩く事数分、目の前が開けたかと思うと、そこには見た事も無いような広くて美しい花畑が広がっていた。 「綺麗〜〜〜っ!!私、こんなに綺麗な花畑見た事無い……っ!!」 キラキラと目を輝かせて喜ぶを見て満足気なヴォーカル。 「へッ、オレの言ったとおりだろ!」 自慢気に胸を張るヴォーカル。 「わぁ〜〜〜、沢山摘んで行こうっと!」 そんなヴォーカルを無視して、は花畑に駆け込んで行った。 〜〜〜数分後〜〜〜
「ぅう゛う〜〜〜……。」
その美しい花畑の真ん中で、とヴォーカルは座っていた。 いや、正しく説明するならば、ヴォーカルがを腕の中にがっちりと閉じ込めて離さないのだが。 そんなヴォーカルの腕の中から一生懸命腕を伸ばすのだが、中々上手く花が摘めない。 振り解こうにも力の時点で負けていて、うんともすんとも言わないのだ。 それ故に、手にはまだ数本の花が持たれているだけだった。 「ヴォーカルさん〜〜、放して〜〜〜!」 いい加減、中々花が集まらない事に痺れを切らしたは、思い切ってもがいてみた。 それまで「可愛い可愛い」とか怪しい事を言いながらも頬擦りしていたヴォーカルは、その動きを少し止めての顔を覗き込む。 「嫌。」 そして、凄まじく簡潔な、しかし本人の意思を明確に表した一言で終わらせた。 「…………っ。」 その言葉に目に涙を溜める。 少し、狼に付いて来た(と、言うか連れて来られた)事を後悔し始めていた。 (ごめんなさい、お母さん……。きっと、約束破ったから今こんな事になってるんだね……。) 何だかもう悲しくて、早くおばあちゃんに会いたくて、は泣けてきました。 「あ?泣いてんのか?」 そんなの涙を舐め取るヴォーカル。 「ぁ゛ーーー、駄目だ、んな顔見てたら……。」 ドサ……ッ
「ふぇ……っ!?」
急に目の前に映る物が青空とヴォーカルの顔になった事に驚く。 一瞬の事に自分の今の状況が理解出来ない。 「駄目だな〜、オレ。もう我慢出来ねぇや。ま、かったくて冷たそうな婆さん食うのは嫌だし…、今ここでお前を頂くとするか♪」 それはもう、爽やかなほどににこやかに、ヴォーカルは言った。 ヴォーカルの言っている事を理解するよりも先に、何だか本能で危険を察知した。 しかし、どんなに足掻こうともヴォーカルの腕から逃れる事が出来ない。 「…………っ!!」 段々とヴォーカルの顔が近付いて来る。 「じゃあ、いっただきまーーー……。」 チュィイーーー……ィンッ!!
「…………っ!?」
いざ、ヴォーカルがを美味しく頂こうかと言う時に、ヴォーカルの右手1cm横を、弾丸が掠めた。 瞬間的に振り返ると、茂みの中から銃の筒が。 「誰だ、お前……。」 一旦から離れ、敵のいるであろう場所を見据える。 「……いやはや、ヴォーカルさん……。台本通りやって頂かないと困りますねぇ……。」 ゆっくりと、その茂みから出て来たのは猟師・ギータ。 背中に剣を、手には銃を構えて鋭い目線でヴォーカルを睨む。 「ハッ、そりゃお前の方だろ。お前の出番はまだまだ先だろ!」 そんなギータにヴォーカルは言い返す。 「いえいえ、猟師の役目は危険な狼を倒す事。さんに手を出そうとするのなら、今ここで私が殺して差し上げますよ……。」 険しい目付きで銃を構え直す。 「へぇ、そうかい……。出来る物ならやってみな……っ!!」 ヴォーカルは、そのギータの言葉に殺気をみなぎらせる。 「本気で行きますからね……。」 「望む所だ!ここでお前を潰してやるよ!」 ここに、狼対猟師(犬)の戦いの幕は切って落とされた。
「……何なんだろう、あの人達……。」
一人取り残されたは、さっきから起こる事に付いて行けていない。 頭の上に疑問符を大量に浮かべながらも、一応は無事にヴォーカルの下から逃れる事が出来た事は理解する。 「何だか真剣に話し合ってるみたいだし…、邪魔しちゃ駄目だよね……?」 対峙し、互いに殺気を放ちあう2人を見て、はそう結論を出した。 そっと立ち上がって、2人に軽くお辞儀をしてからその花畑を去った。 当の2人は、その事に全く気付かなかった。 コンコンッ
「おばあちゃん、元気ーーー?」
森も抜けて、当初の目的地であったおばあさんの家へ辿り着いた。 元気に扉を叩き、声をかける。 「……か……?」 中からゆっくりと出て来たのは、白いゆったりとした服を着たおばあさん・ベース。 「ベースおばあちゃん!」 その姿を確認したは、嬉しさの余りベースの首に抱き付いた。 「良く来たな…、疲れただろう、まずは中へお入り……。」 そんなを優しく撫でながらも中へ促すベース。 「うん!今日はね、森で何だか面白い人に2人も会ったの!おばあちゃんにも話してあげるね!」 ベースに促され家の中に入りながら、は今日あった事を話そうと、顔を輝かせていた。 そのの笑顔を見ながら、優しく微笑んで、ベースは家の扉を閉めた。
その日は、夕日がもう帰る時間だとに知らせるまで、2人の幸せな時間は続きましたとさ……。
そして、帰った時には母オル・ゴールの感激の抱擁が待っていたと言う……。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「正しく、やっちゃった……☆」 オル・ゴール・「何て言うか…、やって良かったンですか……?」 ヴォーカル・「良かったとか悪かったとかの前に、色々と突っ込み所が多すぎて意味分かんねぇよ。」 ハム猫・「いや、ただホントに北の都メンバーで赤頭巾ちゃんやったらはまり役ばかりだなぁ〜…と思っただけなんですが……。暴走しすぎて中途半端な文章になってしまいました。」 ギータ・「台本も何も根本的に話の筋が通ってないじゃないですか。」 ヴォーカル・「ってか、テメー!良いトコで邪魔しときやがって、言える台詞かよ……っ!!」 ハム猫・「狼さんが赤頭巾ちゃんをあんな意味で頂いちゃう話もありません。」 オル・ゴール・「しかも、結果的に何だか良い思いしてるのってベース様だけだシ……。」 ハム猫・「まぁ、そこは位の高さと言うか……☆そんなに落ち込まないでサ、ドンマイ!きっと君が良い思いをする時も来る!……はず。」 オル・ゴール・「(……”はず”……っ!?)」 ヴォーカル・「まぁ、あれだよな。今回あれだけぶっ壊れた事書いてるって事は、これからオレは好きにやって良いわけだな?」 ハム猫・「馬鹿な事をお言いでないよ……っ!!そんな事したらわしが死ぬ……っ。今回でもヤバイよな〜と思いながら打ったってのに……っ!!」 ヴォーカル・「ハッ、んな事言ってたってよ、いつまで普通のネタで持つんだ?」 ギータ・「そうですよねぇ……。少しは私達にも良い思いをさせてくれませんと…、付き合うこっちの立場がねぇ……。」 ハム猫・「……って、何で猟師役が背中の剣抜いてるんですか……っ!?いや、何か皆の背後から殺意と言う名のオーラが放たれてる気がするんですけど……っ!?」 ベース・「……後ろが何やら騒がしいが…、ここで仕舞いにするか……。つまらぬ物を読ませて悪かったな。また気が向いた時にでも顔を覘かせてくれ……。」 |