創界山での戦いが終わって、オレ達ドナルカミ一家は定住する場所を求めて旅立った。

今いるのは、静かな森の中だ。

使ってねぇ小屋があったから、そこを借りて暮らしてる。

一体何回目の場所なのかはもう覚えてねーけど。

親父もお袋も結構気に入ってるみたいだから、まだ暫くはここにいるんだろうな。

フラフラ旅する生活にも慣れたし、自分は自分で好き勝手出来るから別に良いんだけど。

ここにいると、いっつも「あのうるさい奴」が来るんだよな……。










ーーー天邪鬼ーーー










「こんにちはーーー!ドードちゃんいますかーーー?」
今日もまたは元気にドナルカミ一家が住む小屋の戸を開けてきた。
さほど大きくない小屋なので、そんなに大きな声を出さずとも十分聞こえると言うのに……。
「あら、ちゃんじゃない♪ドードだったら、部屋でぼっけー、としてるわよ。適当に拉致って行っちゃいなさい。」
「はい♪」
「拉致るんじゃねーーーっ!!」
ドランの奴との会話がオレの部屋まで筒抜けに聞こえてきたので、ついドアを勢いよく開けてツッコんだ。
(絶対ドランの奴はわざとだ!)
「あ、ドードちゃんおっはよーーー!」
は、ドランの横からひょっこりと顔を出して挨拶をした。
「ったく、お前の声はでけぇんだよ!んな声出さなくてもこんな小屋じゃ筒抜けだろーが。」
底抜けに明るい笑顔なには、何を言っても通じないのだけれど。
いつもの如く、オレはそう言った。
「あっはは、ゴメンネーーー。」
オレのその台詞に、はいつもそう答える。
一体、この言葉を聞くのは何回目か……。
「って言うかよー、お前毎日ここに来てどうすんだよ。そんなに暇なのか?」
台詞の後半に少し嫌味を含めて言う。
「ドードちゃんと遊びに♪」
そんな嫌味には微塵も気付かずに、は明るく言った。
「……っオレだってなー、毎日お前の相手してやれる程暇じゃねぇんだよっ!!」
何を言っても顔色一つ変えないに少しいらつきを覚えて声を上げる。
「何言ってんのよ、あんた。毎日家の手伝いもせずにゴロゴロしてるくせに!」
オレが声を上げると、すかさず横からドランがツッコんで来た。
「…………っ。」
まぁ…、当たってる事は当たってるので言い返せない。
絶対にこいつはオレで遊んでると思う。
「ほらほら、そんなトコで突っ立ってないで、ちゃんと遊んでらっしゃい!」
オレよりかなり身長の高いドランを下から睨みつけていると、そんな事は全く気にならないと言う素振りで背中を押された。
「ちゃんと夕飯には帰って来るのよ〜〜〜♪」
まるで自分の子供に言い聞かせるように、ドランは手を振りながら言った。










「……で、何でオレは今こんな状態なんだ……?」
むっつりとした、不機嫌さ満載の声で言った。
「え?だって、こんなにお花が綺麗だし♪」
目の前で、今でいくつ目かも分からない花輪を作っているが言う。
「それとこれとは関係無いだろ……!何でお前は作った花輪を自分にじゃなくてオレばっかに被せていくんだ……っ!!」
その言葉通り、俺の頭の上にはいくつもの花輪が被せられている。
ついでに、腕には腕輪もある。
オレは、鼻歌を歌いながら花輪を編み続けるに、わなわなと手を震わせながら言った。
「……ドードちゃん似合ってるよ……?」
オレの必死の抗議に、は少し首を傾げ、そう言う事で終わらせた。
「…………っ。」
脱力しきったオレは両手を花が咲き誇る野原についた。
本当に、は最強な奴だと思う。
どれだけ言っても通じないなんて、抵抗する気も無くなってくる。
「……っあ!」
オレがぐったりとしていると、急にが声を上げた。
何かポケットを探っている。
「…………?」
そんなに顔を上げるとーーーーー。
「これなーーーんだ!」
目の前に出されたものは…、小さな莢状のもの。
「……何かの草の種…じゃねぇのか……?」
オレは暫し考えたがそれしか思いつかなかったのでそう言った。
「……ぁれ……?」
すると、は眉根を寄せて疑問の声を上げる。
「おかしいな〜〜〜……。」
そう言って、ポリポリと頭を掻く。
「何がどうおかしいんだよ……?」
珍しく考え込むを不思議に思い、問い掛ける。
「んっとね、前にドードちゃんは豆が嫌いって聞いたから。」
オレは、その台詞に心底嫌そうな顔をする。
「誰に聞いたんだよ……?」
すでに、心の中に答えは浮かんでいるが、一応聞いてみる。
「ドランさん♪」
オレが考えていた答えを、は満面の笑顔で言った。
「……はぁ〜〜〜……。」
自分の兄貴の面倒な行動に少し頭痛を感じつつも、気を取り直す。
「その話は…間違ってはねぇけど…、どっちにしろ、それ豆じゃなくて種だろ?」
「お豆を連想するものなら驚いてくれるかな、と思って。」
オレの質問に、は即答した。
「んな訳あるかーーーっ!!」
がっくりと下げていた肩を勢い良く上げたせいで、頭の上の花輪が落ちた。
「あぁ、落ちちゃった……っ。」
は、落ちた花輪を必死に拾う。
「ったく…、オレはもう帰るぞ……!」
もたもたと拾っているに一言そう言うと、オレはその野原に背を向けた。










「……ったく、あいつはいつもへらへら笑いやがって……!人の弱点で遊ぼうとするなよな……っ!!」
一人森を帰る中、日頃の鬱憤をぶつぶつと口に出す。
家の奴等は皆がお気に入りだから、うっかり家でこんな事言ったら非難されるだけだ。
「いつだってオレが悪者かよ……。」
「ドードちゃんは正義のヒーローが良いの?」
「っのぅわ゛あぁあぁぁ〜〜〜っ!?」
急に真横から掛けられた声に、オレは1メートル程飛び退いた。
「……っな、なな、っな、何でお前がここに……っ!?」
オレは、バクバクと破裂しそうな胸に手を当てて、つっかえつっかえ喋った。
「だって、ドードちゃんが「帰る」って言ったんでしょ?歩くの早くて追いつくの大変だったよ〜〜〜。」
見ると、は腕に作った花輪を通して持っていた。
きっと、拾った後に急いで付いて来たんだろう。
「オレが帰るって言っただけで、お前まで来なくても良いだろ……!」
「でも、もう夕方近いし。」
その即答にオレはを睨んだが、それも効いてはいなかった。
「…………っ!!」
何だかむしゃくしゃする。
どうしていつもこうやってのペースに乗せられるんだ?
どうしていつも、口で勝てないんだ?

どうして、こんなに、苛々するんだ……?





「何で……!」
オレは、気が付けば口走っていた。
「何でお前はそんなにいつもへらへら笑ってるんだよ……!何でお前はそうやっていつもオレが言う事に突っかかって来ないんだよ……っ!!」
すでに、自分で何を言ってるのか、理解出来ていなかった。
ただ、勝手に口が言葉を紡ぐ。
「何でお前は…、そんなにオレに構うんだよ……っ!!」
静かな森の中、オレの声は真っ直ぐににぶつけられた。
急な大声に驚いたのか、向こうの方で鳥が飛び立つ音が聞こえた。
「ん〜〜〜……。」
目の前のは、それでもいつもと同じ表情だった。
「だって、好きな人と一緒にいたら、ニコニコ幸せになるのは普通だと思いますけど……。」
そして、爆弾発言をした。
「…………っ!?」
その瞬間のオレの顔は一体どんなだったろう。
……きっと、ろくな顔はしていなかっただろうが……。
「それに、ドードちゃんは意地悪な事言っても、それがホントに本気じゃないでしょう?」
ニコリ、と笑って止めをさした。
「…………っ。」
何だか全部見透かされている気がして。
今、と自分との間に、何も隔てるものが無いのが居た堪れなくて。
オレは、少しの慰めにでもと、顔を落とした。
「……な、何言ってやが、る…っ、何、人の事勝手に……!」
少しでも虚勢を張っていたくて。
ほんの少しで良い、優位に立ちたくて。
口に出る言葉を適当に言った。
「じゃあ、ドードちゃん今顔上げてみ?」
頭上から、の楽しそうな声が聞こえる。
「ドードちゃんのほっぺたが赤いのは、この夕焼けのせいだけじゃないと思うんだけどな。」
「…………っ!!」
その瞬間、顔に血が上るのが分かった。
……いや、ますます血が上る、と言った方が良いだろう。
オレは、体が固まったように動けなかった。
ただ、硬く拳を握りしめて俯いていた。
「……んな訳あるかよ……。」
オレは頑張って声を振り絞った。
ここで負けてはいけない。
ここで負けたら一生負け続ける。
そう思い、オレは勢いを付けて顔を上げた。
「オレの顔の、どこが赤いって……っ!?」
威勢良く、そう言った。
実際は、赤いどころじゃなかっただろうが。
それでも、は……。
「うん、良い子良い子♪」
そう言って、オレの頭を優しく撫でた。
「…………っ!?」
理解不能なその行動に言葉を無くしていると、はいつものようにニコリ、と笑い、先を歩き出した。
「じゃあ、ドードちゃん帰ろっか。早く帰らないと、またピンクのふりふりエプロン付けたドランさんに怒られちゃうよ〜〜〜。」
また、楽しそうに鼻歌を歌いながら、は森を進んで行った。
オレは、普通に歩けるようになるまで、少し、かかった。










「ん。」
オレは、小屋に着くとに手を差し出した。
「……何……?」
オレの手をまじまじと見て、は言った。
「……それだよ、それ!」
頭の上に疑問符を浮かべているの手にある、花輪を指差す。
「……貰ってやるよ…、そんなに持ってても、意味ねぇだろ……。」
また、だんだん顔が熱くなるのが分かったので、少し顔は俯いていたが。
「……っうん!」
そう言うと、は嬉しそうに花輪を渡してくれた。
「じゃあ、今日は有難うね、ドードちゃん!また明日……っ!!」
そう言って、はニコリと笑って背を向けた。
「……おい!明日から「ちゃん」は止めろよ……!」
去って行くの背中を見ながら、オレはそう声を掛けた。
すると、はくるり、と振り向き、
「じゃあ、明日からは「ドード君」でーーー!」
大きく手を振りながら嬉しそうに笑った。
「……「君」かよ……。」
の回答に、少し苦笑しながらも。

オレは、いつか呼び捨てで呼ばせてみせる、と心に決めて。


小屋の扉を開け、中に入って行った。















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「……誰……?」

ドード・「それはオレが聞きてぇよ。」

ハム猫・「いやぁ〜〜、何だか書いちゃったよ〜〜〜ぅ。色々と謎な作品でありますな。ま、特に考えないで思いつくままに打って行ったし。豆も種だろう、とか言っちゃあいけねぇべよ。(誰?)」

ドード・「タイトル関係無いよなーーー。しかも、オレなんかへたれだし。」

ハム猫・「君はへたれが似合ってるよ☆最初はもう少し違う話だったんですがね。気付けば別の方向に。」

ドード・「それはいつもの事だろ。」

ハム猫・「最初書いている時に、自分の野望が表れかけて、危うくドラン様と最強タッグ組んで、ドードを苛める所でした。(ぇ、もう苛めてる?)」

ドード・「でも、あの兄貴ならやりかねない……。ってか、「ピンクのふりふりエプロン」って何なんだよっ!?」

ハム猫・「私の趣味です。(キッパリ)あの人なら着ててもおかしくない!と思いまして。いや、是非見てみたい……。」

ドード・「…………。(気持ち悪っ。)しかし、もうすっかりワタルドリーム書くの開き直ってるよなーーー。」

ハム猫・「あっは、もうここまで来たら進むしかねぇーよ☆」

ドード・「……意味も無く爽やかに言うなよ……。」

ハム猫・「今回書いててかなりドード萌えしてたので、ドード夢が増えそうです。(ぇ゛。)」

ドード・「頼むからまともなの書いてくれよ……。……ぁ〜…、まぁ、何だ。何かまたあったらよろしくな。今日は読んでくれて…、アリガトよ。」



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