あの女は、オレを見ても責めなかった。

「お帰りなさい……。」

そう言って、微笑んだだけだった。

その瞳は…今でも優しいままで……。



オレは…、どうしたら良いのか、分からなくなる……。










ーーー帰るべき場所ーーー










オレがあの女ーーーのPETに入ってから、4日が経った。

最初、オレがのPETへ行ったのは…自分らしくも無い罪悪感からだった。

何故かあの日からの顔が忘れられなくて。

博士を思い出させる、あの微笑みが…優しい声が…まだすぐに脳裏に浮かんでくるようで。

のナビをデリートしたのはオレだ。

を傷付けたのはオレだ。

あれからその思いが胸の中でどんどん渦巻いていって、押し潰されそうだった。

胸を引き裂いてしまいたい程に苦しくて…、それならばいっその事に憎しみや怒りの言葉を投げつけられた方が楽になると思った。

だが…、実際は違った。

はオレを一つも責めなかった。

ただ、優しく…オレの事を迎え入れただけだった。

以前はのナビがいた場所に自分がいる事をおかしく思いながらも、自分がどうすべきか分からず、ただ日数だけが経っていった。





「……お前は…何故オレを責めない……?」
ある日オレは、思い切ってにそう聞いた。
「……責めるって…、何で……?」
珍しくも話しかけたせいか、はきょとんとした目でオレを見た。
「……何故だと…っ、オレは、お前のナビを……っ。」
そう言い掛けると、はスッと人差し指をPETに近付けた。
そして、切なそうに微笑む。
「やっぱり、その事を気にしてたんだね……。」
少し、寂しそうに呟いた。
「あなたが来た時から、そうなんじゃないかって思ってた……。でもね、ライが…ライが死んじゃったのは…私のせいなの。私の我侭に付き合わせてしまったから…だから……っ。」
そう言っている内に、の目には涙が溜まって来た。
堪え切れず、頬を伝う。
「…………。」
そう、は自分のせいだと思っている。
全部、自分が悪いのだと……。
「何で…何でお前はそんな風に思えるんだ……?何故、全てをオレのせいにしない……?」



オレは……。

オレは…、全てをオレに擦り付けて、軽蔑の目で見られて。

怒りの感情のままに、オレを恨んで、憎しみの言葉を吐かれた方が、どれだけ楽だったか……。

こんな風に受け入れられたら…、自分で自分が許せない……。

この罪を…どう償えば良いのか…、分からない……。



「……フォルテを責めるなんて出来ないよ……。例え…、その方があなたが楽に感じるとしても……。」
そんなオレに、はそっと声をかけた。
それは、全てを見透かしたような声色で。
実際に、オレは全て見透かされていたのだろう。
見透かされているからこそ、優しく迎え入れてくれたんだ。
「ごめんね…、そして、有難う……。フォルテは…優しいね……。」
が微笑んで言った言葉に、オレは目を見開いた。
「優しい」だなんて。
生まれてこの方、言われた事が無かった。
「お前は…本気でそう言っているのか……っ!?」
驚いて…、今まで考えていた事も一瞬忘れた。
「えぇ、本当よ。フォルテは…優しくて純粋。だからこそ…、傷付きやすいのよ……。」
ゆっくりと、微笑んで。
は優しく言った。
「でもね、全部を自分一人で抱え込もうとしないで?私達は…、もう家族じゃない。フォルテはもう、一人じゃないのよ……?」
「…………っ。」



ーーーーー”家族”ーーーーー



ナビのオレには一生縁が無いと思っていた言葉。
むしろ、自分から遠ざけてきた言葉。
それを今、言われるなんてーーーーー……。





「そして、家族だからこそ、無理をしないで。……フォルテはPETの中に閉じこもってるだけじゃ嫌でしょ?私の事は気にしないで…、戻っても良いのよ……?」
「…………っ!?」
の言った言葉に、返す言葉が無い。
ただ、目を見開いて体を強張らせた。
「ふふ…、当たったみたいね。」
そんなオレを見て、は笑う。
「……しかしっ、オレは……っ!!」
今のは、すぐに消えてしまいそうで。
今まで側で支えていたナビもいなくなり、一人ぼっちで。
「私は大丈夫だから……。フォルテに無理をさせてまで、一緒にいても嬉しくないわ。」
オレの思いを見透かしたように、優しく微笑む。
「でも…、もしもフォルテが、一人不安になったり、傷付いたりした時には…このPETに戻って来て……?ここは、あなたの帰る場所。いつでも、あなたを待っているわ。」
「……帰る…場所……。」
今まで与えられた事の無いもの。
今までは、帰る場所も、行き着く場所も無かった。
ただ、思うままに彷徨うだけで……。
「帰る場所があると…何だか安心するでしょ……?」
意味を確かめるかのように言葉を繰り返したオレに、はそう言った。
何だか胸の辺りがむず痒い。
暖かいような、じんわりと、何かが広がるような……。



「……あぁ、そうなのかもな……。」
オレは、そんな胸に手を当てながら、に言葉を返した。















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「あっはは、もう原作諸々は気にするな☆愛で乗り切れ!フォルテ夢でした。」

フォルテ・「……もう、パラレルもいい所だな……。」

ハム猫・「……もう…、一話目をアップした時点で終わってたから……。元々駄目なら、行くトコまで行ってやれ!みたいなね☆」

フォルテ・「フン…、お前らしいな……。」

ハム猫・「まぁ、これで一応キリが付いたのでこれくらい許してやって下さい。(ヲイ。)」

フォルテ・「……これで設定を無視して暴走する事も無くなるか……。」

ハム猫・「え?何が?」

フォルテ・「…………。」

ハム猫・「……ぇえ〜〜〜っと、何だかフォルテさんが凄い形相でこっち睨んできてるのでちょっと避難しようかと思います!それでは読んで下さって有難う御座いましたっ!!」

フォルテ・「……待て!貴様はここで消す……っ!!」



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