「お前…、何してるんだ……?」

クラマは、自分の腕の中で気持ち良さそうに丸まっている少女に声を掛けた。

「え?何って…、羽毛布団。」

少女は声を掛けられ、あっさりと答えた。

「お前なぁ……。」

そんな少女に、クラマはやれやれと額を押さえた。










ーーーふわりーーー










「だって、ずるいよクラマ!自分だけ羽毛独り占めだなんて……っ!!」
少女はガバリと起き上がり、クラマにずずいと顔を近づけた。
「……お前な、独り占めとかそう言う問題じゃないだろ。ってかその前に、これは羽毛布団じゃない。」
いつでも威勢の言い少女を、クラマは少しじとっと睨んだ。
「えぇ〜〜、だってそれ気持ち良いんだよ〜〜〜。暖かいし、柔らかいし〜〜〜。」
ペシっと少女の頭を軽く叩くと、ぷぅと頬を膨らませた。
「お前が寝てると俺まで動けないんだよっ。」
少しずつ頭の上に置いた手(?)に力を込めて行く。
「クラマだって一緒に寝れば良いじゃん〜〜〜!」
その力に抵抗するように、少女は首に力を入れる。
「俺はお前と違って色々と忙しいの!」
「いつも適当に空飛んでるだけじゃん〜〜〜っ!!」
顔を近づけ、ぎゃーぎゃーと言い合う。
いつもの事だった。



こいつ…、とは旅の途中で出会った。
別に行く当てがあるでもなくふらふらと旅していた時に出会ったのだ。
も俺と同じように旅をしてるらしかった。
何となしに、数日一緒にいたのだけれど、行く街行く街で笑いながら無茶な事したり、何も知らずに危険な場所に行ったり、目が離せたもんじゃねぇ。
放っておけねぇって点では海火子に似てるかな。
そんなこんなで、気が付けばコイツの保護者してた訳だ。
で、今に至る。



「あ〜、お前なんかと話してたらキリがねぇ。とにかく、俺はこれからちょっと出掛けるからな。」
そう言って、すっくと立ち上がる。
「むぅ、しょうがないなぁ……。」
そうは言いつつも、だって言ってる事が分からない程子供ではない。
引くところは引く。
それが分かってはいるのだ。
「じゃあ、夕方までには帰ってくるからな。」
そう言って、クラマは野宿していた場所から飛び立った。
2人とも旅続きの身なのでそれ程にお金も無い。
あったとしても、もしもの時のために貯めて置くのが普通だった。
「さーってと、じゃあ私もその辺ぶらぶらして来ますか。」
そう言って、もまた立ち上がった。





いつも適当に空を飛んでるだけなんての奴は言うけど、そんなんじゃねぇんだぜ。
一応、金を稼いでるんだ。
一つ一つはちっさい仕事だけどさ、数をこなせばその日食う分くらいにはなるもんだ。
こうやって俺が真面目に働いてるなんて事、あいつはちっとも分かっちゃあいないんだろうなぁ……。





そう思いつつも、約束した夕方ーー赤々とした夕日が山に沈みかける頃には、朝いた場所に戻って来た。
今日稼いだ分で、簡単な夕飯も買ってきていた。
はというと、焚き火を炊いて座っていた。
俺を見つけると声を掛けてくる。
「あ、お帰りクラマ〜〜〜。今日はねぇ、良い物貰ったんだよ♪」
そう言って、は赤々とした美味しそうな林檎を2つ差し出してきた。
「お前…、それどうしたんだ……?」
そう問い掛けると、は何だか自慢そうな表情で言った。
「あのね、クラマを待ってる間に街まで行ってぶらぶらしてたの。そしたら、果物屋のおっちゃんがくれたの!」
ニッコリと笑って言う。
が誰かから何かを貰ってくる事は珍しい事ではなかった。
人懐っこくて話が上手く、明るい性格の上に、何だか憎めないような、何かをしてやりたくなるような…そんなものをは持っていた。
それが、旅をする上で大いに役立っているのだ。
「ハイ、クラマの分。」
そんな事を考えていると、は林檎を差し出してきた。
「あぁ、アリガトよ……。」
クラマは、少し焦りながらもそれを受け取った。
焚き火の前に座る。
貰った林檎を早速かじってみると、甘酸っぱい味が口の中に広がった。










今日もまた、他愛も無い話をしながら夕飯の時間は過ぎていった。
夜も深まって来て、そろそろ寝る時間だ。
明日には、ここを発った方が良いだろう。
そう思いながら、クラマは適当な木にもたれる。
「……ん……?」
すると、目の前にはが立っていた。
「どうした?まだ腹減ってるのか?」
微妙な表情のを覗き込む。
「ぃや…、そうじゃなくって…その…、それ……っ。」
何だか物をねだるような、子供のような目で見てくる。
……実際に俺から見ればまだまだ子供だが……。
が指差した先に視線を落とすと、それは自分の腕。
もとい…、に言わせる所の「羽毛布団」。
「…………。」
じと〜〜〜っとした視線で、を睨む。
「……っだって!だってっ、まだ夜は寒いんだもん〜〜〜……。」
少しいじけた様な仕種で言ってくる。
「……ハァ……。」
暫く、そんなを見詰めていたが、一つ溜息を吐くとゆっくりと腕を広げた。
「…………!」
その俺の動作に、目を輝かせてがいそいそと腕の中で丸まる。
「わ〜〜〜いっ、暖かい♪」
俺の腕(羽)に体を埋めながら、は幸せそうに呟いた。
いっつもこうやって警戒心も無く、腕の中で気持ち良さそうに寝られる方にもなってみろっての。
普通、そうそう簡単に寝られるかって。
……あぁ、何か俺ってこいつに弱いのかなぁ……。





そう思いながらも、クラマは今日も規則正しいの寝息を聞きながら月を見上げた……。














〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「ヤッハ!とうとうクラマにまで手を付けてしまったハム猫小判です☆」

クラマ・「をい…、ユリアはどうしたんだよ……。」

ハム猫・「いやだなぁ、頭に嘴刺さないで下さいよ!失血死しますから。」

クラマ・「いや、是非そうしてくれ。」

ハム猫・「そんな顔してたら、良い男(鳥・♂)が台無しだぜ☆まぁ、良いじゃん。羽毛布団がやりたかっただけだよ。」

クラマ・「それがいけねぇってんだよ!」

ハム猫・「だって暖かそうじゃんか〜〜〜。」

クラマ・「何で俺はいつも子守り役なんだ……!」

ハム猫・「そんな事言ったらさん怒りますよ〜〜〜?……いつも寝顔見てるくせに……。」

クラマ・「あ?最後になんつった?」

ハム猫・「ニッコリ笑顔で力持ちですね、クラマさん♪(首が折れます。)所で…、嘴でどうやって林檎かじったんでしょうね……。」

クラマ・「…………。」

ハム猫・「…………。」

クラマ・「じゃあ、後は任せるわ。」

ハム猫・「ぅをっと待ったぁーーー!旦那、最後の仕事が残ってますぜ☆」

クラマ・「俺が言わなくても良いだろう……っ!?ったく…、ぁ゛〜〜〜、何かこの管理人が変なモン書いちまったけど…、お前は羽毛布団なんて言うなよな……。まぁ、今度があるなら、もっとマシな話で会おうぜ。」



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