「今日皆に集まってもらったのは、他でもないわ。」
テスラは、口元をツイと上げて上機嫌に言った。 背後のガラス張りの窓からの光に、詳しい表情は覘けないが。 「今日から、ネオWWWの一員が増えるの。」 「「「「な……っ!?」」」」
全く聞かされていなかった話に、一同は驚きを隠せない。
テスラの前に並んだ4人は、息を呑む。 「……で、一体どんな奴なんですか、テスラ会長……!」 これでも犯罪組織。 新たに入るとしたら、それなりの腕を持っているのだろう。 「とっても良い子よ〜〜〜?」 砂山の問いに、テスラは含みを込めて言った。 「……”子”……?」 そのテスラの言葉に疑問を覚えた西古は、嫌な予感を感じる。 「さぁ、出て来て。」 テスラがそう言うと、椅子の背後から人影が現れた。 その人影は、どう見ても小さくて……。 「初めまして、今日からネオWWWに入るです!よろしくお願い致しますっ!!」 ぺこりと頭を下げた姿は、まるで転校生の挨拶のようだった。 ーーーあなたに平和と混乱をーーー 「ちょ、ちょっと待って下さいよテスラ会長!こ、こんな子供を入れるんですか……っ!?」
元気に挨拶した少女の顔を見て、砂山はテスラに詰め寄る。
「子供ですって?失礼ねぇ…、はこれでも大学生よ。」 「「「「……な……っ!?」」」」
本日2回目の驚き。
一同は、本当に声が出なかった。
「良かったじゃない、男臭い中、華が二輪に増えて♪……でも、に手出したら減給するわよ。」
ニッコリと笑い、最後にはきっちりと釘を刺して、テスラは言った。
「取りあえず、今日は簡単にビルの中を案内して、いつもやってる事を説明してあげて。今日は特にやる事無いから、仲良くするのよ。」 テスラはそう言うと、部屋から5人を出した。
「……で、嬢ちゃんは何が出来るんだ?」
ずっと廊下を無言で歩いていたが、これでは駄目だと砂山が言葉を発した。 「え、私ですか?」 それまで黙っていたは、きょとんと砂山を見上げる。 皆、口にはしなかったが一番気になっていた事なので、自然と視線がに向く。 「ぇ〜〜〜っと……。」 そんな皆の視線も気付いてないような素振りで、は口元に人差し指を当てる。 「掃除洗濯裁縫料理…家事全般大体出来ますよ。」 つらつらと並べていくものは全て普通の事ばかり。 それを耳にしながら、どんどん表情に曇りを現していく4人。 「……あと、プログラミングとかハッキングとかピッキングとかを少々……。」 「先にそれを言うだろ……っ!!」 まるで付け足しのように言ったに、つい突っ込む砂山。 「そうでしょうか……?」 そんな砂山に首を傾げる。 「でも、私、非・犯罪要員なので。」 そして、次の瞬間には爆弾発言をした。 「「「「……はぁ……っ!?」」」」 の言葉に、全員がぴったりの息で驚きの声を上げる。
「…………っ!?」
全員が一気に自分の方を振り向いた事で、は驚いて肩をすくめた。 「ちょっ、待てよお前!犯罪しないで、ここで何やるってんだよ……っ!!」 ガタイの良い犬飼が、に詰め寄る。 「……っ、いや…その、テスラさんと約束したのは一応、家事全般と…皆さんのサポートを……。」 急に顔を近付けられて、はつい身を引く。 後ろに下がるに連れて、声も小さくなって行く。 「まぁ、待てよ、犬飼。嬢ちゃんが怖がってるぜ。」 「な……っ!?」 いきり立つ犬飼の肩を掴み、引き戻す砂山。 「しかし…、それなら何でここに入ったんだ?一体テスラ会長とはどこで……?」 未だに怯えているに、神妙な表情で砂山は聞いた。 「……ぇと…そのぉ…、わ、私…田舎から出てきた貧乏学生でして……。」 砂山の真剣な表情に、は暫く黙っていたが、もじもじと少しずつ喋り始めた。
どうやら、はあまりにも金銭的にピンチに陥ったので少しばかり銀行からお金を頂こうと考えたらしい。
が、PETを持って、決心付かずうろうろしている所をテスラに声をかけられた。 緊張していたは、テスラを警察関係だと誤解して、しようとしていた事を洗いざらい話してしまったと言う。 内容的にはありふれた物だが、それを実行しようとした手段が目を引く物だった。 は自分で作ったプログラムで、銀行のファイアーウォールを破ろうとしていたのだ。 その技術はとても目を見張る物があり、テスラは住居・食事付きの条件でをスカウトして来たのだった。
「そ、そりゃ未遂に終わったからと言って、しようとしてた事はとても悪い事だって言うのは重々分かってます……!そして、それをテスラさんに黙っててもらってるのも……っ。」
だんだんと涙ぐみながらは言う。 「その上に、こんな好条件で私を置いてくれて……。私に出来る事があるなら、テスラさんに御恩を返したいと思ってます……っ。あんな良い人にあまり悪い事に手を出して欲しくはありませんが……。」 そこまで言うと、はぐっと瞳に溜まった涙を拭った。 「だから、私に出来る事は少ないかもしれないですけど、皆さんをサポートすると言う形でお手伝いして行きたいんです……!」 の一大宣言に、砂山達はポカンと口を開けるだけだった。 「ですから、目下の所皆さんの食事の準備やこのビルの掃除等をやっていこうかな、と思ってます!……まぁ、一応学生ですので一日中ずっとはいられませんが……っ。」 そこまで言うと、全員が呆気にとられたような顔で自分の方を見ている事に気付き、パッと俯く。 「……まぁ…、一応流れは分かった……。」 そんなを見て、砂山は額に手を付く。 「……しかし…、非・犯罪要員と言っても、どちらにせよここは犯罪組織。入った事がばれれば警察からは目を付けられるが……。」 隣にいた西古は、冷静な指摘をする。 「……そう…ですよね、やっぱり……。」 その、尤もな言葉にはシュンと項垂れる。 「「「「…………。」」」」 そんなを前に、黙り込む4人。 「……ま、まぁ…嬢ちゃんが表に出てこなければ良い事だしよ……っ。」 誰もがかける言葉を失っている中、砂山がを元気付けるように背中を叩く。 「……っ砂山さん……。」 そんな砂山を見上げながら、はゆっくりと微笑んだ。 「そうだ!皆さん、悪事は止めましょう!」 そして、再び爆弾発言をした。 「「「「……はぁ……っ!?」」」」 一体本日何度目なのか…、四人は、驚きの声を上げた。
「だって、旧WWWの人達は今普通に生活をしていると聞きます。私、皆さんが好きですもん!警察に捕まっちゃうなんて嫌です!」
そう言うと、は拳を握り締めた。 「きっと、少しずつでも良い事していけば、皆許してくれます!」 一人燃えるを前に、四人は言葉が出なかった。 「……いや、あの…さん、私達の話、聞いてましたか……?」 瞳に炎を燃えたぎらせているに、西古が引きながらも声をかける。 「はい、皆さんで頑張りましょう!エコロジーにエコノミーですっ!!」 ニッコリと笑顔で訳の分からない事を言うに、四人はもう何を言っても通じないと悟った……。 この日からネオWWWに、活動方針を揺るがしかねない一人の少女が加わった……。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「遅過ぎるなんて言わせない!ネオWWWシリーズ夢ですっ!!」 砂山・「シリーズ夢って…、続くのか……?」 ハム猫・「えぇ、そりゃもう!ネオWWWをひっちゃかめっちゃかにかき回してやるぜ☆」 砂山・「ぅをい、待てっ!!」 ハム猫・「欲望はたーんとあるので、壊滅したって知らない!妄想で頑張る……っ!!」 砂山・「……おい、泣きながら何言ってるんだ……?」 ハム猫・「まぁ、序章と言うか始まりなので、これから皆さんと仲良くなって行きます。」 砂山・「……何か…今後が凄い怖いんだけど……。」 ハム猫・「うふふ、大丈夫☆悲しみを妄想に変えて頑張るから……っ!!」 砂山・「それが一番怖いんだよっ!!」 ハム猫・「まぁ…、現実無視しまくりですが、宜しければお付き合い下さいませ……。」 砂山・「はぁ……。まぁ、何か…続くみたいだからさ……。暇だったらまた見てやってくれるかな……?」 |