私達の関係は…、いつからこんなに不安定になっていたのだろう……。 ーーーホントの気持ちーーー
「ただいまーーー。……って、プラントマン、まだ実体化してたの?」
私がリビングに入ると、すぐにプラントマンが目に入った。 「やぁ、お帰り、。そろそろ帰って来る頃だろうと思ってね。」 いて当たり前と言う風にあっさりと言いのけるプラントマン。 本当に、今では彼が現実世界にいる事が当たり前になりかけているから恐ろしい。 「そんなにずっと実体化してて大丈夫なの?体に負担とか掛からないの?」 元は電脳空間での存在。 こちらの世界が体に悪影響を及ぼさないとは限らない。 「おや、は私の心配をしてくれるのかい?優しいね。」 口元に手を当てつつ、フッと笑う。 「……っ、そう言う訳じゃないわよ!バグでも起こされたら、それを直すのはこっちなんだからね!」 一人嬉しそうにしている彼を見ると、何だか悔しくなってくる。 「でも、私がいない時にこっちにいても暇なんじゃない?何かこっちの世界で気に入った事でもあるの?」 私は、取りあえず話題を変えようと、普段思っていた事を口にした。 「別に一緒に外に出られるわけでもないんだし、留守の間くらいPETの中に戻っておけば良いのに。」 帰りに買って来た食料品などを片付けながら口にする。 「……は分かってないんだね……。」 その、気軽に聞いてみた質問に、プラントマンの真面目な声が返って来る。 「……え……?」 その言葉の内容と声に、不思議に思い振り返ろうとしたが、それは叶わなかった。 「…………っ!?」
プラントマンが、後ろから急に抱き締めて来た。
「私は…、こんなに想っているのに……。」 耳元で囁かれる言葉。 その瞬間に、ゾクリと全身を悪寒が走る。 「……っな……っ!?」 いつものふざけたものとは違う、きつい抱擁にどうして良いのか分からない。 ナビと言っても男だと思わせる程に力強く、少しも体を動かす事が出来ない。 「そりゃあ、電脳世界に比べれば、こちらの世界は居心地はそれ程良いとは言えないよ。それなのに、何でこんなに私が実体化しているかなんて、一つしか理由はあるはずが無いじゃないか……。」 彼独特の、甘いような、酔ってしまいそうな声で囁かれる。 「君がいるから…君の傍に少しでもいたいから……。」 そう言って、抱き締める腕にギュッと力を込める。 「こうして、君を抱き締める感覚を、少しでも覚えておきたいから……。」 「……っちょ…、プラントマン……っ!!」 余りの恥ずかしさに、身を固める。 「こうやって、どんなに実体化出来て、君に触れる事が出来ても、所詮私はデータの塊。いつ、何処でデリートされるか分からない。それならば、一分一秒でもの傍にいて、君の全てを見ていたい。君の全てを知りたい。」 髪越しに触れる彼の唇を感じる。 私は、限界に近い程に赤面していた。
「……っ、も、もしそうなったとしても!ば、バックアップから復活させる事も……っ!!」
「そんな事言わないで。」 どうにか、彼の考えを変えてもらおうと言葉を発せば、それはまた逆効果となった。 「から見れば、それは私に違いないかもしれない……。でも、それじゃあ、バックアップを取るまでの君との時間、記憶はどうなる……?私が、今こうして君を抱き締めている感触も覚えていない事になる。そんなの…悲しいじゃないか……?」 悲しげに揺れる声に、実際にプラントマンが泣いているのかと思った。 「ぷ、プラントマ……ッ。」 「君を想う度に胸が張り裂けそうになるこの気持ちも…所詮はプログラムの羅列だと言ってのけるかい?私は狂っていると言うかい?」 肩に額をもたれかける。 「君の全てを知りたい。君の全てを見たい。君の全てが…欲しい……。」 プラントマンの額が触れる肩が熱い。 「君が幸せにまどろむ姿も、目を覚まして初めて微笑む瞬間も…全て全て、この瞳に焼き付けておきたい……。」 「…………っ!!」 プラントマンが言葉を紡ぐ度に、私は言葉を無くして行く。 今の彼に何を言えば良いのか。 どう切り出せば良いのか、全く分からなかった。 少しでも、失敗すれば、泡のように消えてしまいそうで……。 今まで、こんなにプラントマンが儚げに思えた事は無かった。 「ねぇ、……。私は、君にとって何だい?どんな存在なんだい?」 すがる様に、心細くて寂しくて、死んでしまいそうな子供のように囁く。 「私は、がいないと生きていけない。私にとってはが全て……。それ程に大きな存在なんだ……。君は…、君はどうなんだい……?」 今まで期待して期待して、聞けなかった答えを求めている。 言って欲しくて、その一言が欲しくて、でも、ずっと待ち続けた言葉。 「の本当の気持ちが知りたい。君の気持ちを、君の言葉で聞かせて……?」 今求められているのは、好きか嫌いかの二択。 真ん中は無い。 それを選べばきっと、今度こそ後戻りは出来なくなる。 そうは分かっていても、今までずっと奥底で眠らせていた言葉は、中々出て来てくれない。 自分が言うべき言葉も、それがある場所も分かっているのに、中々口は動いてはくれなかった。 「……好き。」
どれだけ経ったろう。
ぽつりと静けさを破り、やっとその一言を口にするまでに、かなりの時間が経過していたような気がする。
「……じゃなかったら、こんなに一緒にいるわけないでしょ……っ。」
静けさに耐え切れないかのように、咄嗟に言葉を続ける。 やっと踏み出せたのは一歩ではなく、ほんの半歩だったけれど。 それでも、その半歩は、プラントマンに届いたと。 そう思って良いよね?
「……。」
私の言葉を聞いたプラントマンは、嬉しそうに名前を呼んだ。 「……って、好きって言っても、家族とかの好きだからね!変な事考えないでよ!」 ギュッと抱き締められ、今更ながらに自分が口にした言葉が恥ずかしくて言葉を付け足す。 「良いよ。家族は一番近く親しい間柄だしね。それだけが私の事を大切に思ってくれていたなんて……。私は幸せ者だね。」 そう言いながら、首筋に唇を寄せて来る。 「ちょっ、何す……っ!?」 そんなプラントマンを押し退けようと、彼の腕の中で暴れる。 「…………っ!?」 と、今度は首ではなく、足に何かを感じた。 「……っだーーー!あんたは何やってんだっ!!」 自分の太股を伝い巻き付いていた蔦を無理矢理引き離してプラントマンに叩き付ける。 「いや、このムードに流して、行く所まで行ってしまおうかと思ってね。」 「ムードなんて無いから。皆無だからっ。切符あげるから、一人で無人の終着駅まで行ってっ!!」 すでにいつものプラントマンに戻っている。 さっきの今にも消えてしまいそうな悲しげなプラントマンはどこへ行ったのか。 うっかり少しでも、少っしでもドキドキした自分が悔しい。 「、嫌よ嫌よも好きのうちって諺を知ってるかい?」 そんな私に、プラントマンはいつもの余裕の笑みで聞いてくる。 「知ってるけど関係無い!絶っ対関係無い!離せコノ馬鹿ーーーっ!!」 まるでプラントマンの策にはまってしまったようで、悔しくて赤面する。 言っておくが、悔しくてだ。 決して恥ずかしいとか、そう言う事ではない。 怒り心頭で顔が赤くなっているだけだ。 「の馬鹿は好きの意味だからねぇ……。」 人の気も知らず、プラントマンはやれやれと言った様子で呟く。 限りなく楽しそうに見えるのは目の錯覚か。 「違うわ、変態!このエロナビっ!!」 そんな楽しそうにしながらも、決して腕の力は緩めないプラントマンに必死の抵抗を試みる。 しかし、上手い具合に両腕を抱き締められているので暴れようにも暴れられない。 「フフ、男は皆狼だからねぇ……?」 必死な私の耳元で、楽しそうに囁く。 「花が狼だったら怖いわ……っ!!っだーーー!離せーーっ、もう!プラントマンの馬鹿ーーーっ!!」 今出来る事は、声の限りに叫ぶ事だけ。 私は引っ繰り返りそうな心臓を奮い立たせるかのように絶叫した。 こいつの前で素直になんかなれるものか……! 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「……はい、一応関係的に一段落付きましたプラントドリームです。」 プラント・「……一段落、なのかい?」 ハム猫・「一応ヒロインさんの口から「好き」と言う単語が初めて出ましたから。……って言っても、今後も今までとノリ変わらないんですけどね。」 プラント・「フフ、まぁ、つまりはの態度は照れ隠しだって事だね。」 ハム猫・「うん、素直に反応してたらあんたとはやっていけないだろうからね。書いてたらあっという間に18禁だよ。」 プラント・「それはそれで良いじゃないか?」 ハム猫・「良くないわっ!!」 プラント・「好きなくせに…ねぇ……?」 ハム猫・「こんな所でそんな事言わない。何とか、ギリギリで頑張ります。」 プラント・「フフ…、まぁ、ネタはまだまだあるようだし…、もう少しお付き合い願えるかな?管理人の妄想の続く限り書き続けるみたいだし。今回は読んでくれて感謝するよ。それじゃあ、またね。」 |