「久芒君、今日調子悪くない……?」
「ん……?」 一時限目の後、は、隣の久芒白春に声をかけた。 「いつもこんなだけど……。」 白春は鼻をずず、といわせて言った。 「いや、まぁ、そう言われるとそうかもだけど……。ぇと、何か今日はいつもよりもしんどそうだなって……。」 は少し目線を逸らして言う。 「ん〜〜〜?大丈夫だよ゛……。心配ングしてくれてありがとう゛。」 白春にニコリ、と笑いかけられて、は赤面した。 「ん。大丈夫なら…良いの……。ごめんね、変な事言っちゃって……!」 風邪の特効薬
そんな会話がされてから、何時間かがたった……。
授業中も、隣の白春は、横目に見ると顔色が辛そうだった。 やっと四時限目が終わってお昼休みになった。 「……あの、久芒君、本当に大丈夫……?」 とうとうは我慢できずに白春に聞いた。 隣で白春があまりにも辛そうにしていたから。 「あ…、ごめんね、さん……。心配かけちゃった……?大丈夫…、ちょっとしんどいかなってだけだから゛……。」 しかし、そう言った白春の顔は、「ちょっと」のしんどさではない事を語っていた。 「でも、すごくしんどそうだよ……。」 「大丈夫、大丈夫……。オラの事はそんなに心配ングしないで……っ。じゃあ……!」 そう言って白春は教室を出て行った。 「ホントに大丈夫かなぁ……。」 教室に残されたは、ポツリとその言葉を漏らした。
「ぅ゛〜〜〜……。ちょっとやばめかも゛……。」
白春は、校舎裏の木に寄りかかって呟いた。 どことなく、体が熱い。 息も、荒くなってきた。 「熱でもある…かも゛……。」 自分の額に手を当てながら言う。 「でもなぁ…、今日は練習試合だし……。休んだら、監督にどやされ…る゛……。」 そう言いながら、白春は生ぬるい睡魔に襲われた。 誰もいない、校舎裏の木の根元で、ゆっくりと夢の世界に落ちて行った。
午後の授業に白春は出てこなかった。
(どうしたんだろ……。荷物は…あるから、帰った訳じゃないと思うんだけど……。保健室で寝てるのかな……?) そう思いながら、白春が帰ってくるのを待った。
しかしーーー、六時限目を終えても、白春は戻ってこなかった。
「どうしたんだろ……。大丈夫かなぁ……。」 放課後の教室で1人呟いた。 「荷物…持って行った方が良いかな……。」 そう言いながら、白春の荷物を鞄に詰める。 仲の良い、朱牡丹君に渡しとこう、そう思ったから。 「えーーー…と、これで最後、だよね……?」 机の中身を見て確認する。 よし、じゃあ野球部までお届けに行きますか。 そう思い、教室を出ようとした時ーーーーー…… ガラリ……
唐突に、教室の扉が開かれた。
その方向を見ると、顔の赤い白春がドアに片手をかけ、もたれかかっていた。 「く…久芒君……っ!?」 驚いたは、白春の元に駆け寄る。 フラリ、としながらも、教室に入ってこようとする。 今にもくず折れそうな白春を、が横から支えた。 「どうしたの……っ!?顔真っ赤だよ……っ!?」 「ぁ゛…、さん……。」 白春は、うつろな目でを見る。 息が荒い所からも、相当な熱がある事が窺えた。 「ちょっ…、すごい熱だよ……っ!?保健室で寝てたんじゃないの……っ!?」 の問いに、白春は答えなかった。 その代わりに…… グラリ……
「え゛……っ!?」
の方に倒れてきた。 「ちょ、ちょっと待って〜〜〜っ!!」 の叫び空しく、白春はに倒れ掛かってきた。 一生懸命支えようとするも、特に何も鍛えている訳ではないただの女子高生に、高校球児を支える事は出来なかった。 「……っうわ……っ!?」 ゴ……ッ!!
「痛っっっい〜〜〜っ!!」
何がどうなったのかよくは分からないが、気付いた時にはは教室のドアに頭をぶつけていた。 ドアに頭をぶつけた事で、何とか白春を支える事が出来ている。 しかし、体を起こそうとすると、バランスが崩れ、白春ごと倒れてしまう。 「く…久芒君……!大丈夫……っ!?」 さっきので、かなりの衝撃が伝わったはずである。 「ぅ゛…、…大…丈夫……。」 ほとんどの体重をに預けている白春は、荒い息でそう言った。 「どうしよう……。いつまでもこの体勢でいるわけにもいかないし……。でも、少しでも動いたら…このまま倒れそう……。」 そう言いながら、は視線だけで教室を見回した。 この状況を脱する、何かのヒントは無いか……。 「……って、皆帰った後の教室にそんな物無いか……。」 何だかもう、頭の痛さとこの状況に泣きたい気分になった。 「………さん゛……。」 そんな気分に浸っていたの耳に、白春の声が聞こえた。 「な、何…っ、久芒君……っ!!」 急いで白春の方へ視線を向ける。 未だに息は荒く、顔も耳も真っ赤だった。 「……オラの…名前を呼んで……。」 「……は……?」 ついつい、こう言う状況なのだけれども、白春の突拍子も無い言葉に間の抜けた声を出してしまった。 「え…っと、その、何で……?」 内心ドギマギしながらも、白春に尋ねる。 「……さんに…名前呼んでもらえたら…、楽に慣れそうな気がする゛……。」 何で、どう言う理由で、その考えに繋がるんですか……。 瞬間的にそう言いそうになったが、相手は病人(?)。 そんな事も言ってられない。 「え〜〜〜…っと、じゃ、じゃあ、……は、白春…君……。」 自分で言いながら、何だか照れるなぁ…、と思いながらも、白春の反応を見る。 「……ぅれしい…な゛……。これからも…、そうやって……。」 辛そうではあるが、少し微笑んで見せて、荒い息遣いの中言葉を言おうとする。 「……ぁ……。」 すると、言葉の途中で白春の意識が途切れた。 その途端に、本当に白春の全体重がのしかかって来た。 「……って、ちょ、ちょっと、白春君……っ!?楽って、楽って…、そういう楽ですかーーーっ!?」 教室にの叫びが響いた。
「ちぇーーーっ。白春の奴、一体何してんだよーーー。」
その頃、白春のクラスへと向かう廊下で、朱牡丹録は呟いていた。 「なかなか来ないから、俺が見に行くはめになっちゃったじゃんよーーー。(-"-)」 そんな事を呟きながら、気が付けば、白春のクラスも目の前。 生徒の声が聞こえるでもなく、明かりも点いていなかった。 「ん?もしかしていない気……。まっ、いっか。」 そう言って、扉に手を掛ける。 「白春ーーー。いる気ーーー?(?_?)」 ガラリッ と、勢い良く扉を開けると……。 ゴン……ッ!!
「ぃったーーーい……っ!!」
すさまじい音と共に、録の足元にが倒れてきた。 見ると、の上に白春が覆い被さっている。 「……何だかお邪魔しちゃったみたい……。(^_^;)」 「……って、違うからっ!!何か、すっごく誤解してるよ、朱牡丹君……っ!!」 そう言って、Uターンしようとした録を、は必死で呼び止める。 「えっ……?」 そんなの声に録は少し、振り返る。 「白、じゃ無かった…、久芒君が熱出して、気失っちゃったの……っ!!」 「えっ!?嘘、マジ……っ!?(*_*)」 のその言葉に、録は白春の元に駆け寄る。 「うっわ、ホントだ!すっごい熱じゃん……っ!!(@_@)」 録はそう言うと、の上にいた白春の腕を肩に掛け、立ち上がらせた。 「ふはぁ〜〜〜、やっと楽になった……。」 やっと白春の全体重がのいて、軽くなったは上半身を起き上がらせた。 「俺、白春保健室に連れてって来るから……っ!!もし良かったら、野球部に伝えといてくれる……っ!?」 「ぇっ、あ、ハイ……っ!!」 急に声をかけられて、つい「ハイ」と言ってしまった。 は、暫く廊下にペタンと座ったまま録と白春の後姿を見ていた。 「……あ、行かなきゃ……。」 暫くそうしていて、はっと気が付き、は立ち上がった。 スカートの埃を払う。 野球部に伝言を伝えるために、グラウンドに向かいながら、今までの出来事を思い出してみる。 思い出してみて…、恥ずかしさに今更ながら顔が赤くなってきた。 「ぁ、あはは…、私ったら、久芒君の事、名前で呼んじゃったんだよね……。」 両手を頬に当てながら、思い出す。 『……ぅれしい…な゛……。これからも…、そうやって……。』
「あれ……?」
これからも、何なのだろう。 何故急に白春はあんな事を言ったのだろう。 「あれれ……?」 は思い出しながら、疑問符を浮かべる。 (もしかして…、もしかして……。) 自分の思い違いでなかったら、自分の考えが間違ってなければ……。 「もしかして、久芒君も……?」 その考えを確かめるには、数日かかりそうだ……。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「ハ〜〜イ、意味分からなすぎな白春ドリでした!」 白春・「……本当だな゛……。」 ハム猫・「あっはは、もう、途中で数ヶ月放置してたもんだから、最初と最後で感じ違いますがな。」 白春・「ハム猫は並行して何本も書くからな゛……。」 ハム猫・「そうやって、中途半端に止めていくんですよね〜〜〜。」 白春・「オラが偽者っぽい上に、この話、最後がそこはかとなく手抜きっぽいング……。」 ハム猫・「だってだって、白春もキャラが分からないんだもんよ〜〜〜ぅ!あんま喋ってないし!これ書き始めた頃は、まだ一人称が「オラ」だって分かってない時だったんだもん……っ!!」 白春・「……それは関係無いと思う゛……。」 ハム猫・「まぁ、とにかく熱で顔の赤い(息の荒い)白春を間近で見て萌えて下さいな、という話ですよ!(なげやり。)」 白春・「変態だなぁ゛……。」 ハム猫・「はん!どうでも言うが良いさっ!!ちなみに、一応説明入れておくと、最後のは「もしかして、白春と両思いなのかしら☆」という事です。(☆に意味は無し!)数日かかるのは、白春がお熱で学校休むから。」 白春・「何か、ホントにオラのファンに怒られそうな駄作だな゛。」 ハム猫・「あぁっ、もう、いいの!気にするなっ!!そして私も気にしない……っ!!(待て。)さて、シメ頼みます!」 白春・「ん゛〜〜〜。何か、こんなんでゴメンな゛……。でも、オラはさんに名前呼ばれてホント嬉しかったぞ。」 |