「林檎のような君の頬に手を当てて、僕はそっと唇を寄せた……。」

「……っプラントマン……!」










ーーー気持ちの言葉ーーー










「恋愛小説朗読するの止めてってば……っ!!」

「何でだい?純文学も読んでみると良いものだよ?」
の必死の頼みも、軽く流すプラントマン。
「それはそれで良いんだけど…、声に出して読む必要は無いでしょ……?」
そんなけろりとしたプラントマンを、じとりと見る。
にも楽しんでもらおうと思ってね。」
のそんな表情も気にせず、プラントマンは答えた。
「……その気持ちだけで十分だから……。」
自分のナビの相変わらずの態度に、軽い疲労感を覚える。
額に手を付きつつ溜め息を吐くと、少しの間プラントマンは黙った。
「……じゃあ……。」
暫く考えながら、情報を拾っていたプラントマンが口を開く。
「官能小説は止めてよね。」
プラントマンが何かを言うよりも早く、は釘をさした。
「…………。」
その言葉に、プラントマンは少し残念そうな顔をする。
(やっぱりそのつもりだったのか……。)
は内心冷や汗を流していた。
以前経験したあの恐怖を二度と体験してなるものか。
「しょうがないねぇ、は……。」
の尤もな言葉に、プラントマンは残念そうに首を振る。
「何よっ、私が悪いように言わないでよ!」
いかにも自分が悪いとでも言いそうなそのプラントマンの瞳に、は言葉を投げた。
「ただ私はこの時をと一緒に楽しみたいだけなのに……。」
「私で遊んで楽しみたいだけじゃないの……?」
残念そうに顔を俯かせるプラントマンに冷ややかな視線を送る。
「…………。しかし、はどんなジャンルが好きなんだい?」
「さっきの間は何……っ!?」
の言葉に、暫く無表情に見つめ合っていたが、急にプラントマンは話題を変えた。
「恋愛小説もホラーも歴史物も駄目……。一体は何を読むんだい?」
のツッコミも無視して、小首を傾げる。
「……無視ですか……。別に…恋愛物もホラーも嫌いじゃないけど……。」
そこで一旦言葉を切る。
「プラントマンが読むと…凄くリアルに感じられて…怖いんだもん……。」
そう、彼の声で聴くと。
恋愛の胸の高鳴りや、ホラーの恐怖感……。
一つ一つの描写が、頭の中でリアルに描かれて、感じられて。
普通でいられなくなる。

彼の声には、そんな不思議な感覚がある。

無視しようにも、耳を塞いでも、他の事をしていても、スルリと入り込んで来て。
ついつい、意識してしまう自分がいる。



「ふぅん……。」
そのの言葉を聞いて、少し面白そうな表情を浮かべるプラントマン。
。」
そして、名前を呼ぶ。
「…………?」
プラントマンの呼び掛けに、嫌そうな表情をしつつも、そちらを見る



「好きだよ。」



「……は……?」
余りにも脈略の無い唐突な言葉に、は咄嗟に素っ頓狂な声を上げた。
「愛してる。」
そんなも気にせずに、プラントマンは言葉を続ける。
「……ちょっ、だから止めてって……!」
真剣な眼差しで見つめてくるプラントマンに、はカッとなって怒鳴る。
「とても在り来たりな言葉だけど、今の私の気持ちを表すには…これがきっと最適だろうね。」
「…………っ!!」
怒鳴っても怯む事無く真っ直ぐに見つめてくる瞳。
それは、その言葉が嘘ではない事を表す証拠。
「君の返事を聞かせてくれるかい?私は十分に待ったつもりだよ?」
プラントマンの言葉に一瞬怯んだは、言葉を失う。
「……わ、私は……っ。」
今まで、何度もはぐらかして来た答え。


私は知っている。
どんな答えをプラントマンが望んでいるのか。
どんな言葉を、私の口から言って欲しいのか。

そして、きっと彼は私の本当の心を見透かしているんだ。


だけど……。



だけど、まだ…その言葉を口にする勇気を、私は持ち合わせていなくて……。





「……私…は…、プラントマンの事……っ。」

瞬きをする事も無くじっと見つめてくる視線が痛い。
出そうとする言葉も、どんどん奥へ引っ込んで行ってしまう。

「プラントマンの事……っ。」

卑怯かもしれないけれど、耐え切れなくて彼の視線から目を逸らし。





「……嫌い…じゃ、ないよ……っ。」

俯いて、そう言うのがやっとだった。





「…………。ふぅ…、それも、在り来たりな言葉だね……。」

私の言葉を聞くと、彼は暫く黙った後にそう言った。
私はずっと俯いていたから、彼が一瞬悲しげな目をしただなんて知らなかった。

「…………。」
何処と無く寂しげな彼の声に、一人罪悪感を感じる。

「まぁ…、時間はまだまだあるわけだし……。の一番近くにいるのは私なんだしね。いつか…、ちゃんとした返事を聞ければ良いさ。」
そう言うと、彼は開いていた情報を全て閉じた。
「私はスリープモードに入るからね。何かあったら起こすように。」
その彼の言葉と共に、画面が暗くなるPET。



「……プラントマン……。」



もう返事の返ってくる事の無いPETを見つめ、は小さく呟いた……。
















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「はい、何だか気が付けばシリーズ化、プラント夢です。いつもの如くタイトル適当です。」

プラント・「シリアスなんだかギャグなんだか……。」

ハム猫・「一応関係的に次で区切りつきます。いや、その後もこのノリ変わらないんですが。」

プラント・「区切りと言うのはどう言う事かな。期待して良いのかい?」

ハム猫・「期待しないで下さい。まぁ、それは置いといて…ハム猫官能小説なんて読んだ事ありませんので。」

プラント・「あったらあったで大変だけどね。」

ハム猫・「ので、どんなか知らないんですが女役も読んでたんですか、プラントさん?」

プラント・「相手は是非にしてもらいたい所だけどね。」

ハム猫・「後書きでも問題発言が……っ。早く撤収しなきゃ……!」

プラント・「おや、時間はまだまだあるよ?」

ハム猫・「いや、まぁ語る事も余り無いので無問題!」

プラント・「おやおや、せっかちだねぇ……。」

ハム猫・「時間は待ってはくれませんよ!それでは、次の話が出来ましたら、宜しければ見てやって下さいませ♪」


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