オレがコイツの元に来て数日が経った。

その間で分かった事。

コイツの家は結構でかい。

一般人よりは、軽く金持ち階級に入っているだろう。

なのに、静かで誰かがいる気配がしない。

聞いてみれば、両親は海外らしい。

たった一人のために使用人を雇うのも勿体無いので、一人暮らしを続けているとの事だった。



この馬鹿でかい家にコイツ一人。

ある意味、こっちの思い通りに暴れやすい条件が揃っている。

……が、それが上手く行かないのが、コイツなんだ……。










ーーー苦労は続くよいつまでも編ーーー










「ぅあぁあ〜〜っ、遅刻するーーーっ!!」
今、目の前をばたばたと忙しそうに駆け巡っているのが、激しく認めたくないが一応オレのオペレーターのだ。
最近はオレが毎朝何十分もかけて起こしてやってるお陰で遅刻は無くなったらしいが、今日は準備で梃子摺ったらしい。
口にパンをくわえて、上着を着ながら走り回っている。


「おい、もう3分しかねぇぞ。」
「えっ!?」
あっちへ走り靴下を取り、こっちへ走りノートを取りしているに、PETから声をかける。
すると、は血相を変えて振り向いた。
「いやぁーーー!また先生に怒られるーーーっ!!」
すると、はそう叫びながらそこら辺の物を手当たりしだい鞄に放り込み始めた。
「行って来ます、バーナーマン!今日はお願い私が学校言ってる間に洗濯しといてっ!!」
早口でそれだけ言うと、PETをおもむろに掴んでディメンショナルチップを挿した。
「って待て!初めてが洗濯かよっ!!」
つい突っ込みを入れてしまったが、初めて実体化する時に洗濯を頼まれるなんて誰が思うだろう。
「じゃあね、行って来ますお土産買ってくるから宜しくっ!!」
それだけ言うと、は玄関向けて駆け出して行った。
激しく扉を閉める音と共に、バーナーマンは現実世界に実体化する。
「…………。」
が去って、静かになった家の中で、一人佇むバーナーマン。
「……ったく、あいつ……!」
初めて実体化する事が出来て、本来ならば暴れに行きたい所なのだが。
今までの数々の失敗が脳裏に蘇る。



今まで何度も悪事をさせるために唆そうとしても、気が付けば話すり替えられてるし。
人の話はまともに聞かないし。

ある日は、火加減を見るようにコンロにプラグインされたので、一つ暴れてやろうかとプログラムを暴走させたら、の奴が混乱してバケツ一杯の水をぶっ掛けやがって、マジに暴走してついこっちが止めちまったし。

その上に、あいつは馬鹿なくせに変な所で頭が良いらしく、自分でプログラム組んで、勝手にPETから出られないようにしやがったし。





「……本当に最悪だ……。」
そう呟きながらも、バーナーマンは部屋を見回した。
今までの経験上、きっと今回もろくな事は起こらないだろう。
やるにしても、成功する確率は低いと見た方が良い。
「……まぁ…、やってからでも…良いよな……?」
暫く考えて、ポツリと呟く。
洗濯なんて当たり前のように今までした事は無いけれど。
適当にすればどうにかなるだろう、と。
そう思い、バーナーマンは洗濯機へと向かった。



その考えが浮かぶ時点で。

すでにに感化されているとは、今の彼は気付く由も無かった……。










「たっだいまーーーっ!!」

夕方。
は元気に扉を開けて帰って来た。
「……って、あれ、バーナーマンどうしたの?」
ニコニコと笑いながら入って来たは、玄関でバーナーマンが胡坐をかいて座っているのを見て首を傾げる。
その表情からは、怒りの感情がひしひしと感じられる。
「実体化なんてしたの初めてだねーーー。」
そんな彼を見てものんびりと言葉をかけるに、とうとうバーナーマンは切れた。
「……っお前がしたんだろーーーっ!!」
がっと立ち上がり指を突きつける。
「……私が……?」
そんなバーナーマンを前に、はきょとんとした声を出す。
そして、暫く首を捻って考えて……。
「あぁ、そうか!洗濯頼んでたんだ……っ!!」
ポン、と手を打った。
「有難う、してくれたんだ!」
嬉しそうにニコニコと笑って言った。
「……してねぇーよ。」
そんなを見て、バーナーマンはぶすっと呟く。
「……え?何で?」
すっかり期待していただけあって、彼の言葉には目をパチクリとさせる。
「……あのなぁ……。それ、自分で言うか……?」
全く、何の疑問も抱いていないに、バーナーマンはげっそりと尋ねる。
「ん〜〜〜、やり方が分からなかったとか?それならネットで探せば……。」
「ち・が・う。」
口元に人差し指を添え、小首を傾げながら言うに、言葉を切りながら迫るバーナーマン。
「……ぇ、バーナーマン……?」
その、今にも切れそうな青筋の浮いた顔に、流石のも身を引く。
「……何が何だか…その…、サッパリなんだけど……っ。」
今更ながらに冷や汗を流しながら、一歩二歩と後退する。
「お前なぁ……っ。」
そんなに、バーナーマンは言葉を搾り出した。
「人に頼むなら…っ、服と下着くらい分けとけーーーっ!!」
「……は……?」
余りにも、唐突なバーナーマンの叫びに、はポカンと口を開ける事しか出来なかった。
「……何で……?」
「何でってお前……っ!?」
未だに頭の上に疑問符を浮かべたままなに、バーナーマンは言葉も出ない。
「だって…、今までそんな事した事無いよ……?家族だし。」
そりゃあ、親がいて、家族の誰かが洗濯していたならば話は別だが。
「それは今までの話だろっ!?オレは関係無ぇっ!!」
「関係あるよ。だって、バーナーマン家族だもん。」
「…………っ!?」
さも当たり前と言わんばかりのの口調に、バーナーマンは再び言葉を詰まらす。
「……あのなぁ…、お前それ本気で言ってんのか……?」
落ち着け自分、と言うように暫し時間を置いて、バーナーマンは言った。
「うん。本気だよ。何かおかしな事言ってる?」
は全く意味が分からない、とでも言いたげに小首を傾げる。
「いや…、まぁ…何だ……。おかし…く無いと言えば無いんだが…、いや、この場合はおかしい…おかしいんだ……。」
怒鳴ったかと思えば、目の前でぶつぶつと独り言を始めたバーナーマンに、の首は更に傾げられる。
「大丈夫、バーナーマン?」
そして、俯くバーナーマンの顔を覗き込む程に首を傾げて、聞いた。
「……ぁっ!?え、あ、な、何だ……っ!?」
考え込んでいたバーナーマンは、急な言葉に驚いて顔を上げる。
「バーナーマン最近いっぱい怒るから疲れてるんだよ。はい、これお土産。」
その怒る原因は自分にあるとは露知らず、は鞄から何かを取り出した。
「これ食べたら、きっと怒らなくなるよ。」
ポン、と軽い音をたて、バーナーマンに渡された物は……。
「じゃあ、私今から洗濯してくるからーーー。」
手の中の物を見て固まっているバーナーマンを他所に、パタパタと駆けていく
「……ぉ、ぉま…なぁ……っ!!」
すでには背後に消えて行ったが、未だに玄関先にいるバーナーマンは段々と肩を震わす。



「絶対コレわざとだろーーーっ!!」



そして。

手の中の「いりこ」を握りしめ、再び、聞く者のいない叫びを上げた……。
















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「ぁあぁあぁああぁぁ〜〜〜……。とうとう書いちゃった……。」

バーナーマン・「亡者みたいな呻き声上げんなっ!!んな落ち込むなら書かなきゃ良いだろっ!?」

ハム猫・「いや、だって、でもこれ書かなきゃ……!」

バーナーマン・「あぁあ〜〜っ、うざってぇな……っ!!」

ハム猫・「あの、その、本当に、深い意味は無いんですけど、本当にこんなネタですみません……っ。決してバーナーマンを変態にしたいわけでは無く……っ!!」

バーナーマン・「お前は変態だけどな。」

ハム猫・「そこも違うっ!!て、ぇ、自分間違ってる……っ!?」

バーナーマン・「……いや、もう良い……。後書き進まねぇから……。」

ハム猫・「あぁ…、うん。もうこのネタで皆様に引かれないか悩みながら放置してたと言っても良いくらいですが、順番的にね。うん。」

バーナーマン・「……順番…っつって…、まだ続くのかよ、これ……。」

ハム猫・「続きますが、何か?」

バーナーマン・「…………。」

ハム猫・「大丈夫!住めば都並に慣れていくから!目指せラブラブっ!!」

バーナーマン・「目指すなっ!!畜生、いつまでも乗せられて堪るか!絶対にあいつのペース崩してやるからな!覚えてろよっ!!」



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