アステロイド。

奴らはいつ襲ってくるか分からない。

いつもの生活の中、いつどこで戦わなければならなくなるか分からない。

そう、例えば街中でも。

大勢の人がいる中でも。


大切な、あの人の目の前でもーーーーー……。










ーーー本当の想いーーー










「チッ、熱斗の奴……!」
炎山は軽く舌打ちをしながら地を蹴った。
その瞬間に、先程使ったロングソードをネオバリアブルへと変える。



ザシュ……ッ!!



大きな音を立てて、炎山はアステロイドへ攻撃を試みた。
タン、と地に片膝を付いて着地する。
クロスフュージョンして身体能力は上がっているとは言え、疲労が溜まらない訳ではない。
先程から、多くの人を逃がすために敵の攻撃を受け流しながら道を作ってきたせいか、すでに息が上がっていた。
「……こうも人が多いと……っ。」
まだ逃げ惑っている周りの人々を見ながら、息を整える。
周りに人がいる限り、無茶は出来ないし思う通りに戦う事も出来なかった。



今いるのはデパート前。
只でさえ人の多いその場所は、休日と言う事もあり普段よりも大勢の人が押し寄せていた。

そこへ狙いを付けられた訳だが……。



「早く逃げて下さい……っ!!」
熱斗は、温泉部の部活で近場の温泉地へ向かった所だと言う。
召集をかけても、ここへ辿り着くまで時間が掛かる。
炎山は必死に買い物客を安全な方向へと誘導していた。
(今回のアステロイドは厄介だ……。この人達をどうにかしなければ……っ。)
そう思いながら、人の動きを見ていると……。


「……あっ……。」


小さな子供がこけた。
「…………っ!?」
そこへ、丁度アステロイドの攻撃が来る。
「危な……!」
一生懸命に腕を伸ばし、子供を救おうと駆け出した時ーーーーー……。
目の前を見知った人物が横切った。



……っ!?」



その瞬間、驚きで体の動きは止まったが、子供を抱きかかえたの背後に忍び寄る衝撃波を見て、体が勝手に動いた。





……っ!!』





それは、炎山の意思によるものではない。
脳からの信号に体が応答するよりも前に。
瞬間的な衝撃に、血の気を失った体が、手が、懸命にを目指し。
気が付けば、を抱きかかえ、地に伏せていた。



「ぐぁ……っ!!」



次の瞬間には、敵の攻撃を背中にまともに食らってしまった。
「え、炎山君……っ!?ブルース……っ!?」
自分をかばって敵の攻撃を受けた炎山を見て、目を見開く
「な、何で……っ!?」
炎山のクロスフュージョン姿を見たのは初めてで。
こんな状態もあり、は混乱していた。
「ねぇ、ねぇっ、大丈夫、炎山君!」
苦しそうに顔を歪める炎山を下から見ながら、は目に涙を溜める。
『大丈夫です、様……。』
しかし、その声に答えたのはブルースの声。
「……ブルース……っ!?」
苦しそうに、しかし微かに微笑んで見せて、ブルースはを抱え起こした。
『ここは危ない…、少し、我慢して下さい。』
そう言うと、ブルースはを抱かかえ、強く地を蹴った。
「ひゃっ!!」
急な衝撃に驚いた声を出しながらも、は腕にしっかりと子供を抱かかえる。
暫く走り、小さなビルの裏路地へ出た所で、やっとを下ろした。
『ここならば大丈夫です……。危険ですので、ここから動かないように……。』
2人を残し、ブルースは踵を返す。
そして、またアステロイドと戦うためにさっきの場所へと帰ろうとした。





「ブルース……っ!!」





しかし、歩き出そうとしたブルースは、後ろからに抱き締められた。
『…………っ!?』
自分の体に回された腕に手を添えながらも、ブルースは困惑した。
「絶対に…、絶対に、無事に帰って来てね!」
震える腕できつく抱き付いてくる。
『…………。』
そんな彼女をいとおしく思いながらも……。
『…………っ。』
ブルースは、自分がどうするべきか、判断に困っていた。
初めて感じるの感覚。
自分が今までずっと求めてきた物が、今、自分の手の中にある。
感じる事が出来る。
自分の理性と衝動が、互いにぶつかり合っていた。
「……約束だから……っ!!」
泣きそうな声で、抱き付く腕に力を込めながら。
背中越しに、が言った言葉を聞いて。
『……はい、。オレはちゃんとあなたの前に戻ってきます……。』
暫く黙っていたブルースは、優しくそう言うと、の腕をやんわりと解いた。
「……っ本当……?」
その言葉に、涙を溜めた目でブルースを見つめる
『はい、オレはあなたに嘘を吐きません。』
ブルースは、そう言うとを優しく抱き締めた。
「ブルース……。」
そんなブルースに少し驚いた顔をしたが、はブルースを抱き締め返した。
(……有難うございます……。)
ブルースはそう思い、少し微笑むと、名残惜しそうにを放した。
『……それでは……。』
そして、背を向け、再び地を蹴る。
「……っブルース……。」
そんな、戦いに行くブルースを、はずっと見つめていた。










今日の戦いーーーーー……。

いつもと違っていた。

有り得ない事が起きた。

自分の体なのに、自分の物ではない。

自分の意思で動かせない。

否、まるで自分の意識は剥がされてしまったように……。

ブルースの意識を、言動を、行動を…感じる事しか出来なかった。


こんな事は今までに無かった事だ。

咄嗟の判断ではない。

瞬間的な事ではない。

ブルースは、自分の意思で、オレの体を使っていた。

シンクロであり、シンクロではない状態。

ブルースの強い思いがそうさせたのか……。

ブルースの、想い……。

オレが感じたあの感情は…への想いは……。

あれが、お前の本心なのか……?

ずっと、あの想いを胸に秘めていたのか……?





答えてくれ…っ、ブルース……ッ!!










「……ブルース…、俺はお前が分からないよ……。」




















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「……えっ、めちゃダーク……っ!?」

ブルース・「……どうしてくれるんだ……っ。」

ハム猫・「いや、そんな今まさにムラマサブレードで切りかかろうとしてるような表情で言われても……!」

ブルース・「当初言っていた設定と違うじゃないか!」

ハム猫・「いや、だって書いてる内にこうなっちゃったんだもん……!クロスフュージョンの設定を滅茶苦茶に無視してますがすみません。炎山様の体乗っ取っちゃった……☆」

ブルース・「……っこれではこれからの炎山様との関係が……っ!!」

ハム猫・「そこで苦悩されてもねぇ……。こっちも続き書けるかどうか悩んでるんだからお相子ですよ。……どうしよう……。(滝汗)」

ハム猫&ブルース・「……ハァ……。」

ハム猫・「あぁホントどうしましょ。どシリアス路線真っ只中じゃないですか。一回で良いからブルースでギャグ話書きたいよチクショウ。」

ブルース・「そうやって現実逃避せずに、真面目に対策を考えるべきだろ……。」

ハム猫・「うん、でもこれ連載では無いから☆」

ブルース・「……ネオバリアブル……。」

ハム猫・「えっ…、ぎゃあぁぁーーーっ!!」

ブルース・「ハァ…、これで煩い奴は消えたか……。まぁ、続きが書かれるのかは定かではないが、ここまで読んでくれて感謝する。じゃあな……。」



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