リンクPET。

プログレスPETよりも更に進化を遂げたPET。

縮小化・軽量化・転送速度アップ以外にも、ホログラム機能が付いた事により、ナビが立体的に表される事になる。

それにより、今まで以上にナビに対する親しみが増し、より良い関係が築けたり、補助がし易くなると思われた。

しかし、画期的かと思われたその機能も、立場が違えば受け取り方も変わるのだった……。










ーーーてのひらの約束ーーー










『…………?』
閉店後のMaHa壱番´。
オレは、一人内心焦っていた。
各自片付けに入り、マハ=ジャラマはカレーの保存、ヒノケンは食器の片付け、まどいは店内の掃除、エレキ伯爵は明日の準備に行った。
は今日の売り上げを計算していたが、早めに終わり、少し残った時間に背を伸ばし体を休めていた。
オレはそんなを、近くに置かれていたPETの中から見ていたのだが……。



『眠っているのか……?』
気が付けば、微かに聞こえる規則正しい寝息。
カウンターに突っ伏す形で、は眠っていた。

『……疲れてるんだな……。』
最近は客数も増えてきた。
本当なら、もっと人員を増やしても良いはずだ。
それをこの人数でやっているのだ。
一人の負担が増えるのも目に見えている。

『でも、ここで寝てると風邪引くぞ……?』
オレは、PETから抜け出ると、に近付いた。
閉店時間も過ぎ、暖房器具を消した店内は人がいない分寒かった。
……。』
目の前まで来て、足を止める。
組んだ腕に頬を乗せて眠るの顔が良く見える。



閉じていると良く分かる睫毛の長さ。
サラリと流れ落ちる前髪。
いつも綺麗な桜色の唇……。



こんなに近くで、こんなにじっと見つめた事が無かったので、自然と胸が高鳴る。
目の前にいるのは、あまりにも無防備な
良く眠っていて、暫くは起きそうにない。
いつもの邪魔するメンバーもいない。

『…………っ。』
オレは、息を潜めてそっと手を伸ばした。
暖かく、柔らかそうなの頬に指先が触れる……。



スッ……



『……っ、あ……。』

分かりきっていた事なのに。
を前に、何もかも忘れていた。

ホログラムで姿を表せられても。
決して実体化出来ている訳ではないと言う事を。

『ハハ…、馬鹿だな、オレ……。』
伸ばした腕を引き戻し、顔を覆う。
今まで何度失敗しただろう。
その度に、心に刻みつけたはずなのに……。
『本当に…馬鹿だ……。』
現実的な距離をこれ程に縮められるが故に、その現実は残酷だった。
「……ん……?」
そう、また呟いた時、の肩が微かに揺れた。
『…………っ!?』
オレが、PETへ戻ろうと慌てている内に、の瞳が開かれる。

「ぁ、エレキマンだ……。可愛い小人さんがいるから誰かと思った。」
『か……っ!?』
起き上がったは、目を擦りながらそう言った。
正直、可愛いなんて言われても喜べないんだが。
「あーぁ、寝ちゃった。エレキマンに見つかっちゃったね。ね、この事は皆には内緒ね?」
背伸びをすると、悪戯っぽく笑う。
『ぃや、オレは、何も……っ。』
そんな風に笑いかけられて、オレは両手を勢い良く振る事しか出来なかった。
「じゃあ、約束。」
そう言って、はスッと掌を差し出した。
『…………?』
目の前に差し出されたの手を、疑問符を浮かべながら見つめる。
「指切りは出来ないでしょ?だから、手と手を合わせて、約束。」
不思議そうな顔をしているオレを見て、は微笑みながら言った。
『…………っ。』
その言葉に、オレはドキリとした。
触れ合えなくても、は変に気をつかわない。
対等に接してくれる。
それが、嬉しくて。


オレは、そっと手を差し出した。



実際に、手を合わせられる日がいつ来るかは分からない。

何年、何十年経つか分からない。

けれど、いつか。


いつかその時が来た時に……。


は側にいてくれているだろうか?


この笑顔を、変わらずオレに向けてくれているだろうか?



もし。

もし、それが叶うなら……。
その時には、自分の気持を。

『好きだ』と言う事を。



伝えよう。






『……約束だ。』


心の中でそっと呟いて。

オレは掌を重ねて、そう言った。

















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「こうしてエレキマンは告白を数年後に伸ばしました、と。」

エレキマン・「違うっ!!って、自分で書いといてそう言う事言うなよ!」

ハム猫・「まぁ、進展あっても困るんで。(鬼)と、言う事で遅れに遅れた87000番キリリク、エレキマン夢でした。瑞樹さんに捧げますっ!!」

エレキマン・「本当にごめんな……。自分で言うのも何だけど…、甘くないしな……。」

ハム猫・「凹まない凹まない、ドンマイ!」

エレキマン・「書いてるのはお前だろ……っ!?」

ハム猫・「こう言うのが好きなんです。」

エレキマン・「……それ言ったら終わりだろ……。」

ハム猫・「と、言うか。リンクPETネタが使いたかったが故に密かにMaHa壱番´になっちゃってますが気にしない。」

エレキマン・「いや、気にするだろ。まぁ、突っ込みだしたら矛盾点だらけだけどな。」

ハム猫・「まぁ、そこはそこ……。スルーでお願いします。(待て。)本当に、こんなになってしまいましたが、少しでも楽しんで頂けたなら幸いなんですが……。」

エレキマン・「ワンパターンしか書けない奴だけど…、もし良かったらこれからも見てやってくれると嬉しい。それじゃ、今回はここまで読んでくれて有難うな。」


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