今日もまたいつものようにお留守番の日。

こう言う日は、いつも行く所が決まっていた。

少し慣れた城内を歩き回る。

自然と、着く場所がそこだった。


ギータの魔剣コレクションが飾ってある部屋ーーーーー。



のお気に入りの場所だった。










ーーー策略ーーー










コンコンッ。
軽く扉を叩く。
「ギータさんいますか〜〜〜?」
部屋の中に声を掛けるが、返事が返ってこない。
「今は…いないのかな……?」
そう言うと、はそ…っと扉を開いた。
足音を立てないように中に入る。
「……わぁ〜〜〜、やっぱり凄いなぁ……。」
中に入ると、は一つ溜息をついた。
壁や棚に所狭しと、しかしきちんと整頓されて並べられている魔剣を見ると、いつもその美しさに溜息をついてしまう。
「これだけ集めるの、大変だったろうなぁ……。」
お留守番の日には、よくギータに魔剣コレクションの説明を聞いていたが、それでもまだどんな能力を持った物なのか分からない剣が山ほどあった。
静かな部屋の中、は壁際の棚に近付く。
「本当…、綺麗だなぁ……。危ない物だなんて思えない……。」
そう言いながら、そっと剣に手を伸ばす。
他の剣に並んで、鞘の無い剣があった。
その切っ先に指が触れかけた瞬間ーーーーー……。



「その剣に触らない方が良いですよ。」



部屋の入り口の方から声がした。
ビクッとして振り返ると、そこにはやはりギータの姿。
「ぎ、ギータさん!ぁ、あのっ、ごめんなさい!勝手に入ったりして……っ!!」
悪戯が見付かった子供のように、慌てて謝る。
一方、ギータは気にしない、と言うような顔で部屋に入って来た。
「いやいや、それは別に構いませんよ。しかし…、勝手に剣に触れるのだけはいけませんねぇ……。」
そう言って、チロリ、と睨む。
「……はぃ…、もうしません……。」
そんなギータに、は少し俯き気味に謝った。
「因みに、その剣はとても切れ味が良くてねぇ。もしも、触れた時に誤って少しでも血を流すと…貪欲なほどに血を求めて止みませんよ。」
ニッコリと、釘を刺すように言う。
その言葉に、は少し顔色を青くした。
肩をすぼめて固まっているの下に、ギータは近付く。
「今日もまた、留守番なんですか?」
優しそうに聞く。
「はい、ヴォーカルどっか行っちゃって……。」
シュン、と少し項垂れて、は言う。
「良ければ、今日もここで時間を潰しますか?」
そんなに、ギータはニコリと尋ねた。
途端に、の表情が明るくなる。
「良いんですかっ!?」
「えぇ、今は手も空いてますし……。正直、暇だったんでね……。」
目の前で、キラキラと瞳を輝かせている少女に言う。
ギータはこの少女ーーを気に入っていた。
自分の話す事を一々真面目に聞いたりとか、魔剣にとても興味を持っていたりとか。
今までの自分の周りの環境が恵まれていなかったと言えばそれでお終いだが…、今ではと一緒に過ごす時間が少しの楽しみだった。
「今日も魔剣の話を聞きますか?」
ギータがそう尋ねると、は勢い良く頭を振った。
「はい!私、この部屋にある魔剣、全部知りたいですっ!!」
静かな部屋の中に響く程、元気良くは言った。
「フフ…、そうですか……。それは大変な時間が掛かりますよ?」
そんな少女を嬉しそうに見詰めながら、ギータは言う。
「そうなんですか……?ん〜〜…、でも、きっと大丈夫ですよ!」
何の根拠も無いのだけれど、この少女が微笑むと、それも有りかと思えてくる。
「では…、今日はどの魔剣を紹介しましょうかねぇ……。」
ギータは、そんな少女を背に魔剣コレクションを仕舞っている棚に向かった。










さんは本当に賢いですねぇ……。」
魔剣の説明をしながら、ポツリ、とギータは言った。
「へ……?」
今まで一生懸命ギータの話に耳を傾けていたは、そんなギータの言葉に素っ頓狂な声を上げた。
「私が…ですか……?でも、私まだ文字の読み書きもまともに出来ないし、それに……っ。」
目を大きくして、心底驚いたように言う。
「そんな事は誰でも最初は出来ない事でしょう?」
そんなを、ギータはニッコリと笑って遮った。
「人間は魔剣を怖がり、忌み嫌っています。それは自分がその能力を制御出来るか自信が無いから……。人間と言う生き物は兎に角恐怖心が先に立ってしまう生き物です。しかし…、さん、あなたは魔剣が好きだと言い、怖がらずに私の話を聞いて下さる……。」
穏やかに、嬉しそうに話すギータ。
「……だって、魔剣って綺麗ですし…、それに、ギータさんがいればどんな魔剣だって恐れる事は無いでしょう……?」
そんなギータに、は伺うように聞いた。
「ハハハ、そう言ってくれますか!まぁそうですが…、あなたは、素直に物を見抜く目を持っている……。」
ギータはそう言うと、綺麗に澄んだの瞳を見詰めた。
「……ギータさん……?」
何だかギータがいつもと違うような気がして、少し小首を傾げる。
「この魔剣は……。」
すると、急にギータは一本の魔剣を取り上げた。
「水晶を生み出す事が出来ましてね。物や…人をその中に閉じ込める事も可能です。しかも、水晶の中にいれば、歳を取る事も無くずっと美しいままでいられる……。」
その剣の刀身を見詰めながら、ギータは囁くように言った。
「私は時々、この剣であなたを閉じ込めてしまおうかと思う時があるのですよ。」
そう言うと、ギータはの方を見た。
「私を…、ですか……っ!?」
意外な言葉に、目を見開く
「えぇ、あなたをずっと私の傍に置いておきたい……。私だけのものにしたい、と……。そう時々思うのですが……。」
途中で言葉を止めたギータを、不思議そうに覗き込む。
「でも、それではあなたは曇ってしまうんですよ。」
「曇る?」
ギータの言いたい事が何なのか、良く分からずは疑問符を浮かべる。
「あなたは、あなたのまま、傍で微笑んでいて欲しいのです。水晶越しでは、どんなに素晴らしい笑顔でも曇って見える……。」
「…………っ!?」
今まで見たことも無いような、優しく…そして切ないギータの瞳に、は一瞬体を強張らせた。
「これからも…、私の傍で微笑んでいてくれますか……?せめて、私と…この部屋で2人きりでいる時だけでも…私だけのために……。」
そう言って、ギータはそっとの手に自分の手を重ねた。
「……っぅあ、あ、あのの……っ!!その、私、難しい事分かりませんけど…っ、それで…ギータさんが嬉しいのなら……っ!!」
いつもと違うギータの行動に、赤面する
ギータの手が重なっていない方の手を、必死に振っている。
そんなを見詰めながら、ギータは少し喉で笑った。
「そうですね…、いつか、あなたを私だけのものに出来るなら……。この部屋のコレクション全てを失っても惜しくは無いでしょうね……。」
ギータを直視できず、顔を俯かせているに、微笑みながらそう言うと……。
「…………っ!?」
そっと…、の額にキスを落とした。



そう、いつかあなたを私だけのものに。





私の本気は、怖いですよ……?

















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「ハイ!31000ヒットのキリリク、ギータ夢でした!鏡耶ミユキ様に捧げます♪」

ギータ・「……え〜、あなたにはどの魔剣がいいですかねぇ……。」

ハム猫・「ぃや、何背後で魔剣漁ってるんですか……っ!?」

ギータ・「いえ、どの剣であなたに止めを刺そうかと。」

ハム猫・「ニッコリ笑って怖い事言わんで下さいっ!!」

ギータ・「しかし、あなたにはどの剣も勿体無さ過ぎますね……。しょうがない…、この鈍ら剣で少しずつ息の根を……。」

ハム猫・「いやぁ…っ!!安心した直後に地獄……っ!?」

ギータ・「……と、冗談はここまでにして……。」

ハム猫・「(絶対本気だ……!)何だかギータ夢は初だったんですが、どうだったでしょう?後半偽者になりすぎて吐血しかけてました。」

ギータ・「あなたにしてはまだ甘い方ですかね……。」

ハム猫・「はい〜、まぁ、珍しくキスまで行きましたしね。(額だけど。)でも…、ギータさんって犬だから…「ちゅう」は出来ないよね……。」

ギータ・「…………。……死にたいですか……?」

ハム猫・「ゴメンナサイ……っ!!」

ギータ・「え゛ぇ〜、この作者、原作を途中からしか買っていませんでねぇ…、魔剣の説明とか捏造してますが、そこら辺は目を瞑ってやって貰えると有り難いですねぇ……。(まぁ、私には関係有りませんが……。)」

ハム猫・「ぅわっはー☆密かに本心曝け出したフォローを有難う!」

ギータ・「あなたがまともにコメントしないからでしょう。」

ハム猫・「いや、ご尤も。だって、言い出したら言い訳しか……。」

ギータ・「あぁ、ハイハイ。分かりましたからそこで黙ってて下さい。それでは…ミユキさん、こんな作品ですが宜しければお持ち帰り下さいませ。良ければまた…、2人きりで魔剣の話でもしましょうね……?」



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