初めての対面。 ドキドキして、心臓が飛び出そうだった。 「やぁ、私はプラントマン。これから二人で美しい人生の花を咲かせていこうか。」 何で私はこのナビを選んだんだろう……。 ーーーワイルドストロベリーーーー
「さぁ、いつまで寝てるんだい?今と言うこの時は、決して待ってはくれないよ。君も朝露を浴びた花達のように、綺麗に美しく、この朝を向かえようじゃないか。」
私の朝はこれで始まる……。
「……プラントマン…、もっと普通に起こしてくれない……?」
爽やかに起きたいとは思うが、毎朝こうクサイ台詞を吐かれては現実逃避に深い眠りにつきたくもなる。
「普通……?これが私の普通だけれど?」
悪びれるそぶりも見せず、あっさりと言うプラントマン。 「目覚まし時計のプログラムもいつも勝手にオフにしちゃうし……。」 そう言いながら、今日も目覚まし機能がオフになった時計を手に取る。 「あんな無機質なメロディーよりも、私の声で起きた方が良いと思ってね。」 あっさりと言いのける彼の、どこにこんな言葉が蓄えられているのだろう。 「の一日の始まりを、私の声で始められるなんて、こんなに素晴らしく嬉しい事はないよ。」 いつも繰り返される会話。
そりゃあ、私だって花を愛でる気持ちは分かるつもりだ。
美しい物を見て、素直にそう思う心もある。 だが、彼は別だった。 独特すぎる世界の持ち主だった。 彼の口を借りれば、ありふれた言葉も素晴らしい物になる。 なる、のだけれど。 そう言う台詞に免疫が全く無い私には、毎日彼の言葉を聞くのは大変な事なのだった。
「はぁ…、まぁ良いや。今日は気晴らしに買い物にでも行こうかな……。」
のそりとベッドから起き上がり、適当に身支度をする。 「そうだね、今日はとても良い天気だから、素敵な一日になるよ。」 彼は、そう言って微笑んだ。
「ぅ〜〜〜ん……。」
試着室。 その中では唸っていた。 「これも好きだけどなー…、でもこっちも捨て難い……。でも、似合ってないかもだし……。」 考え出したらキリが無いが、ついつい悩み込んでしまう。 「……ぅ゛〜、どうしよ……。」 何回も着替えてみたが、決心がつかない。 「その色も良いけど、君には清楚で可憐なピンク色が似合うと思うよ。」
「…………っ!?」
唐突に聞こえてきた声。 いつも聞いている声のくせに、ついビクリと体をこわばらせてしまう。 「ちょ…ちょっとっ、鞄から覗かないでよ、プラントマン……っ!!」 驚いて声の方向を見ると、鞄の開いた口からPETが覗いていた。 「失礼だねぇ…、私は純粋にの服装について考えていたのに……。……それに、美しいものでないと私は覗かないよ。ある意味、誇って良い事だ。」 「思いきり覗いてたんじゃない……っ!!」 私は、そう叫んでプラントマンに服を投げつけた。
「うぅ……。」
店を出て、近くの公園のベンチに座り込んだの手に持たれた袋の中には、しっかりとピンク色の服が入っていた。 悔しいがプラントマンのセンスが良いのは確かな事だ。 結果的に毎回彼の言葉に従ってしまう自分が憎い。 これでは、どちらがオペレーターだか分からない。 「どうしたんだい、浮かない顔をして。良い服が買えたじゃないか?」 「…………。」 そう言ってくるプラントマンを、じとっと睨む。 「……ねぇ、この際だから聞くけど、プラントマンは私の事どう思ってるの?この関係っておかしくない?」 ずっと、聞きたかった事。 自分達の関係は、ナビとオペレーターと呼べるのだろうか。 ただ、プラントマンに遊ばれているようにしか見えない。 「何って…、私達の関係に、陳腐な言葉を使えと言うのかい?あえて言うのなら…、雄しべと雌しべ……。互いを必要とし、一つになるべき関係…かな……?」 「…………っ!!」 いつにも増して凄まじいその台詞に、つい頬が紅潮してしまう。 「君が私を選ぶ事は運命だったんだよ。そして、私がに出会った事もまた然り。何故、君はその運命を受け入れようとしない?」 綺麗な緑色の瞳で見つめられる。 「…………。」 その瞳を見つめていると、初めて出会った時を思い出した。 初めて、プラントマンに会った時。 PETに現れた彼を見て、息を呑んだ。 余りに綺麗で、美しくて。 彼がゆっくりと瞳を開けるのを、時が止まった事のように見ていた。 ……まぁ、その後の第一声で一気に引いたのだが。
「……運命…、か……。」
ぽつり、と口にする。 「運命に抗うのはの勝手だけれど…、何をそんなに頑なになる必要があるんだい?少し、私に近付いて、私を認めてくれれば良い。それだけだ。」 「……それが簡単に出来れば良いんだけどね……。」 プラントマンの言葉に、少し乾いた笑いを返す。 彼の性格や言葉に慣れる事は容易い事では無さそうだ。 「まぁ、すぐにとは言わないさ。少しずつで良い。……そうだ。」 少し言葉を切った彼は、ふと視線を公園の外の方へ向けた。 「あそこの花屋でワイルドストロベリーを買わないか?」 「ぇ……?何で……?」 彼の指差す方向を見ながらも、疑問の言葉を出す。 「ワイルドストロベリーは、上手く花を咲かせると恋が叶う、と言うからね。」 「……は……?」
「ぇっと…、誰の……?」
滝のように汗を流しながらも、プラントマンに聞く。 「勿論、のさ。」 あっさりと返された言葉に、更に言葉を無くす。 「……誰との……?」 凄く聞きたくは無い事だったが、これを聞かなければここで話は止まってしまう。 「私との。」 …………。
「……あれ、どうしよう…何だか幻聴が聞こえちゃったや…、はは、今日はもう帰って寝よう……。」
聞いてはいけない言葉が聞こえた気がして、は爽やかに空を仰いだ。 「現実逃避は良くないよ、。それは一時の逃げに過ぎない。」 しかし、彼の声に現実逃避は失敗した。 「……だから…、何でそう言う話にいつもなるのかが分からないんだけどね……。」 少し引いた目で、プラントマンを見る。 「何故って…、私達の関係に、恋とどう違う所があるって言うんだい?」 誰か、彼の頭の中を見せて下さい。 瞬時にそう思ってしまったが、ここでめげてはいけないのだろう。 「どうって…、元から全然違うじゃない……。」 無駄とも思える質問を繰り返す。 「お互いの事を知って、少しでも近付こうとする……。この関係と恋、どこが違うんだい?突き詰めれば、同じ事だろう?」 プラントマンの言葉を聞いていると、何でもそれが正しく思えてくるのは、すでにもう重症なのだろうか。 それを、「恋」と呼ぶべきかは置いておいて……。 「……でも、私花咲かせる前に枯らしちゃうかもよ……?」 暫く黙って考えて、ぽつり、とプラントマンに声をかけた。 「大丈夫さ。私が付いていて、枯らすわけが無いだろう。」 まるで確信があるとでも言うように、自信たっぷりに言う。 「……しょうがないなぁ……。」 そんなプラントマンを見ると、はすっくと立ち上がった。 プラントマンには、もうばれているのだろうけれど。 今、この時は自分が折れたふりをしなければ恥ずかしくて。 「……美味しい苺が出来なかったら、怒るからね……っ。」 プラントマンにそっぽを向いて、花屋に入って行った。 「フフ、大丈夫さ。私達の関係も…、苺と同じく、いつかは熟す時が来る……。」 そんな、顔を真っ赤にしたを盗み見て、プラントマンは楽しそうに笑った。 部屋に置かれたワイルドストロベリー。 その成長と共に、2人の関係がどう変わって行くのか……。 それはゆっくりと、しかし確実に。 目に見える形で、いつか現れる……。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「遅っくなりました!リーベさんとの相互リンク記念ドリでした!」 プラントマン・「……これが私の夢なのかい……?」 ハム猫・「ごめんなさい。貴方様の素敵センスは私にはありませんでした。」 プラントマン・「……ふぅ、本当に…もっとセンスの良い台詞を考えて欲しいものだよ。特に、人様にプレゼントする作品だと言うのに……。」 ハム猫・「でも、何だかプラントだと言ってる事噛み合わなくてもOKな気がするのは私だけ?」 プラントマン・「……それはどう言う意味かな……?」 ハム猫・「あっはは、何だか穴だらけになりそうな気がするので話は変えまして☆しかし、本当に私は甘が書けないな……。プラントマンは恋愛ではリードするイメージがあるのですが……。」 プラントマン・「本当にすまないねぇ……。こいつの頭ではこれが限界だったようだよ。」 ハム猫・「うぅ、あんな素敵夢を頂いたのに……っ!!」 プラントマン・「でも、まぁ君との恋の花なら咲かせてはみたいけどね……。ねぇ、……?」 ハム猫・「あぁ、そこで咲かせといて下さい。……と、言う事で、こんな形になりましたが、宜しければ受け取って下さいませっ!!」 プラントマン・「どうするかは、君に任せるよ。ネットの海に捨てるも、返品するも、ね……。」 ハム猫・「それでは、ここまで読んで下さり有難う御座いました!これからも、宜しくお願い致します……っ!!」 |