ドナルカミ一家とがあったのは、この森に来た時だった。

今現在使っている小屋が誰かのものなのか、と丁度その時森で会ったに聞いたのだ。

聞かれたは、「誰も使ってませんよ」と、ニコリと笑って言った。

普通ならば、こんな一家全員で旅をしているなど何か怪しい理由でも有りそうなものだが、全く気にしている様子は無かった。

それどころか、「埃だらけだから」と言って、一緒に小屋の掃除片付けを手伝うと言って付いて来た。

後で聞いた話では、は一人で暮らしているようなので、自分と歳の近いドードがいた事が少し気になっていたのだろう。

当のは、森に食料になりそうな木の実や果物を探しに来ていたらしい。

今日は沢山取れたから、と言ってかごの中に入っていたそれらの少しを、ドナルカミ一家に差し出した。


それから今まで、は殆ど毎日ドナルカミ家に通っては、もう家族同然のように付き合っているのだった。










ーーーするりーーー










「ねぇ、ちゃん。」
ある日、ドランは話しかけた。
「何ですか?ドランさん?」
その声にくるり、と振り返って小首を傾げる。
「あなた…、ドードの事好きでしょう。」
ニッコリと顔中に笑顔を作って、を覗き込む。
「えぇ、好きですけど。」
きょとん、とした顔でドランの言葉に答える。
「…………。」
そのあっさりとしたの反応に、ドランは少し憮然とした表情をして。
「そういう意味じゃないの!そういう「好き」じゃ無くて「ホの字」でしょって聞いてるのよっ!!」
のおでこを指で弾きながら言う。
「「ホの字」って何ですか……?」
ドランの攻撃に「ぁう!」と小さく悲鳴を上げてから、は少し涙目で聞いた。
「……ホントに知らないのね……。だから、簡単に言うと「友達」とかじゃなくて「一人の男」として好きなんでしょ、って事よ。恋愛の「好き」って事!」
の疎さに少し驚きながらも、ドランは少し胸を張って言った。
「…………っ!!」
すると、の頬は本人の表情とは裏腹に、パッと赤く染まった。
いつもニコニコとしてはいるけれど、殆どその表情を崩さずに、あまり自分の感情を露にしないにとっては珍しい事だった。
「うっふふ、図星でしょ♪」
その反応に満足そうに言うドラン。
「うぅ〜〜ん…、そうなのかなぁ……?やっぱり……。」
しかし、は特別慌てる事も無く、頬は染めてはいるけれど少し困ったように微笑んだ。
「何その反応…、自分で分からない訳?」
頬をぽりぽりと掻いているに、ドランは半ば呆れ気味に聞いた。
「だって、今までそんな経験無いんですから分かる訳無いですよ。」
ドランの台詞に、何だか尤もな事で返す。
「でもでも、ドードの方もあんたの事嫌ってるわけじゃないみたいだし、良いじゃない。この際告白しちゃいなさいよ!」
面白そうだから、という言葉は引っ込めておいた。
「でも、まだ自分の気持ちさえハッキリしてないのに、そんなので告白も何もあったものじゃないでしょう。」
そんな楽しそうに言うドランに、は冷静に返す。
「そんな事言うなんてあんた変わってるわねぇ……。」
何だかつまらないじゃない…、という言葉はこれまた心にしまっておいたが、表情に出ていたらしい。
「よく言われます。」
ニッコリと、全てお見通しとでも言っているような表情では言った。
「あんたってば、いっつもそんなな訳?」
ドランは、少し興味があるという風に聞いた。
「そんなって…、こんなのですけど?」
不思議そうに、ドランの問い掛けに応じる。
「何か…、良い意味でなんだけど、こっちの期待とはまったく違うの反応をするのよね、ちゃんて。」
それが面白くて色々と毎日ちょっかいを出しているのだが。
「そうなんですか……?」
当の本人は、意識してやっている訳では無いようだ。
それが、本当にの性格なのだろう。
「何て言うか…、ちゃんてば兎みたいね。」
「兎……?」
ドランの突拍子も無い言葉に、は目を丸くする。
「そ、足の速い、変に頭の良い、ね。」
ニコリ、と笑ってドランは言った。
「私が捕まえようとしても、簡単に逃げちゃうの。やっと捕まえたと思ったら、すぐにするりと腕の中から逃げちゃうのよ。」
「…………?」
ドランの例えが分からず、頭の上に疑問符を浮かべる
「まぁ、だからこそ捕まえるのに燃えるってもんなんだけどね。」
至極楽しそうに、ドランは言った。
ちゃんと一緒なら、ずっと退屈なんてしないでしょうね。」
ドラン特有の、何かを企むような表情で言う。
「そうですか?私そんなに面白くないと思いますけど……。」
う〜ん、と唸りつつ、は言う。
「そう?じゃあ、私が証明してあげましょうか。ちゃんとずっと一緒にいて、私が飽きないかどうか。」
妙に冷静で頭がキレても、こう言う言葉の裏に隠された人の企みと言うものには気付き難いのがの良い所でもあり、悪い所でもあった。
一度人を信用すると、底の底まで信頼しきってしまう。
「危険」という考えが浮かばないのだろう。
今回も、特別気付いてないようだ。
こうやって、ドランは少しずつを追い込んでいく。
逃げ場も無く、只捕まるしか残されていない隅の方へと。



「絶対に、いつかちゃんを捕まえてみせるから。」
ニッコリと、ドランはにそう言った。




















〜〜〜無駄に長い後書き〜〜〜

ハム猫・「……書いちゃった……☆」

ドラン・「語尾に☆付けて誤魔化すんじゃないわよ。」

ハム猫・「いや…、だって前回何だか嬉しい反応を頂けたので……。」

ドラン・「一応、私とドードの夢は設定的に繋がってるのよね?」

ハム猫・「はい、一応。」

ドラン・「それにしちゃあ、前の夢と辻褄合わないところあるわよね。」

ハム猫・「それは無視で。」

ドラン・「待ちなさいよ!そんなんで良いわけ……っ!?」

ハム猫・「あっはぁ、細かい事は気にするな☆まぁ、今回はドラン様がさんを狙う切欠みたいな…、始まりみたいな……。」

ドラン・「最初から狙ってたって所は、ドードより私の勝ちね。」

ハム猫・「まぁ、大事なのはさんの気持ちですけどねーーー。」

ドラン・「これから色々あって、あのドードの夢(天邪鬼)に繋がっていくわけね。」

ハム猫・「そう言う訳です。」

ドラン・「所で…、多分この話の意味良く分からない人が多いだろうから、説明しといた方が良いんじゃない?」

ハム猫・「そうですね……。ぇ〜〜〜、簡単に言うと、最後ら辺でドラン様が言ってる「ずっと一緒に」って言うのは、ダイレクトに言う所の「一生傍にいる」と言う事に繋がります。つまりは、離さないわよ☆と言う宣戦布告ですね……。」

ドラン・「何よ、そのグッタリ疲れたような言い方は……。」

ハム猫・「いや…、もう後書きで自分の作品説明するのって、何だか自分のギャグの説明する感じに似てるな〜、と……。」

ドラン・「それはあんたの腕が無いからよ。ま、どんなに上手く逃げようと、私の腕からは絶対に逃れられないけどね。私が本気を出さない間に、一生懸命逃げとく事ね♪」



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