「ねぇねぇ、司馬君ってさ、いつもどんな曲聴いてるの?」

きっかけは、その一言だった。










ーーーVoiceーーー










「へぇ〜〜、Queenって言うんだ〜〜〜。」
僕のMDを貸して、少しだけ曲を聞かせる。
「いい歌だね♪」
そう言って、彼女は笑った。
「ん〜〜〜…とね、私はこの中では…、そう、この曲が好きっ!!」
そう言って、彼女が指差したのは、僕も好きな「’39」だった。
「ロックって、ちょっと近寄りがたいかな〜〜〜って思ってたんだけど、いい音楽だねっ!!」
「私も好きになっちゃった!」そう言って、彼女は笑った。



嬉しかった。

僕が好きなものを、彼女も気に入ってくれて。

Queenのおかげ…なのかな……。

無口な僕に、彼女は気軽に話しかけてくれる。

僕が答えなくても、笑顔で話しかけてくれる。

人前で話せない、自分がもどかしい。


この気持ちを伝えられない事が、もどかしい……。








「あのさ、1つ、お願いがあるんだけど……。」
ある日、彼女がそう言ってきた。
「あのね…、QueenってCDいっぱい出てるじゃない?買おうにも、お金が足りないし、借りようにも、どれがどんな曲なのか、多すぎて分かんないんだよね……。それでさ……。」
そう言って、彼女は一呼吸置いて、何かを取り出した。
「司馬君のオススメの曲、このテープに録ってきてくれないかな……?」
頼んでくる彼女の手には、一本のテープがあった。
「あっ、あの、私MDって持ってなくて……。テープしか無理なんだけど…、いいかな……?」
心配そうに聞いて来る。
僕は、その問いにニッコリと笑って答えた。
途端に、彼女の表情が明るくなる。
「……っありがとう、司馬君……っ!!このお礼は、ちゃんとするから……っ!!」
そう言って、彼女は嬉しそうに走って行った。



別に、これくらいでお礼なんていいのに……。

まぁ、そこが彼女のいいトコなんだけどね。


そう思いながら、そのテープを大事に鞄の中にしまった。










その日の夜、僕は自分の部屋で、QueenのCDと睨めっこをしていた。
彼女の言ったとおり、QueenのCDは多い。
彼女に渡されたのは、60分テープ。
その中に、一体どの曲を選んで入れたら良いのか……。
まず、彼女の好きな「’39」は入れる。
その他に、どんな曲を入れよう……?
自分のオススメの曲で本当に良いのだろうか?
彼女には、Queenの色々な曲を聴いてもらいたい。


そんな事を考えていたら、どんどん夜は過ぎて行った。










「え?もう出来たのっ!?早いねぇ……っ!!」
翌日、昨日夜通しで頑張ったテープを彼女に渡した。
「ありがとう……っ!!帰ったら、早速聴くね……!」
彼女は、とても嬉しそうな笑顔で言った。
僕には、その笑顔が見れただけで、このテープを録音して良かったと思った。



しかしーーーーー


彼女は気付くだろうかーーーーー





このテープに、僕の気持ちを詰めた事にーーーーー……。










「へぇ〜〜〜、「’39」から始まるんだね!」
私は、帰って早速テープを聴き始めた。
宿題なんてそっちのけ。
司馬君のテープの方が大切。
「うわっ、司馬君、一曲一曲に解説付けてくれてる……っ!?」
大変だったろうなぁ〜〜〜…、私なんかのために……。
そう思いながらも、曲はどんどん進んでいく。

最後の曲になったーーーーー。


「これで…終わりか……。」
う〜〜ん、どの曲も良かったなぁ〜〜〜、などと思いながら、巻き戻すために停止ボタンを押そうとした、その時ーーーーー……。












さん……?気付いてる…かな……。これに……。さんの前では、いつも言えなかったから、この機会にずっと言いたかった事を言おうと思って……。……僕はね…、さんの事が好きだよ……。ずっとずっと、好きだった……。良かったら…、返事聞かせてもらえるかな……。いつでも…、いいから……。……じゃあね……。』
















〜〜〜後書き〜〜〜

ハム猫・「突発的、司馬ショート夢。語り風。」

司馬・「……終わり方、中途半端だね……。」

ハム猫・「ぉわっ!?今回は喋るんですね……。そうですよ、中途半端です。しかも、最後しか名前変換ありません。…でも、たまにはこんな終わり方もいいかなぁ〜〜〜、と。その後はご想像に任せますって感じで……。」

司馬・「「’39」はハム猫も好きなんだよね……。」

ハム猫・「そうさ!「’39」と「the miracle」の入ってるCDはちゃっかり借りたさっ!!他にも聴きたくても、山ほどあって困ってるさ……っ!!買うには高いしね……っ!!☆」

司馬・「……でも、本当にQueenはいい曲が多いよ。」

ハム猫・「きっと、司馬君好きになって、Queenあさったお姉さん達も多かろなぁ……。」

司馬・「……皆も良かったら聴いてみてね。それじゃあ、また会えたら良いね……。」



戻る