「へぇ…、お前……。」 彼に会ったのは……。 誰も見向きもしないような、荒れ果てたネットの片隅だった……。 ーーー穢れ無き闇ーーー あの時、私は何故あそこに足を向けたのだろう。 あの時、彼に会わなければ、私は今でも……。 「お前…、何しに来たんだ?」 私を見つけた彼は、その深い深い闇色の瞳で、私を見た。 「…………っ!?」 私は、その余りにも禍々しい瞳に、言葉も無く佇むのみ。 前へ進む事も、後ろへ下がる事も出来ず、ただ、そこで恐怖を顔に表し固まっていた。 「へぇ…、お前……。」 すると、瓦礫の欠片に座っていた彼は、ひょいと立ち上がるとこちらに向かって来た。 「良い顔、してるじゃねぇか……。」 そして、クイと私の顎を上げた。 私は目を逸らしたい気持ちで一杯だったが、それも叶わず。 じっと見つめてくる彼は、チロリ、と舌なめずりをした。 ガ……ッ!! 「ぅがっ、あ……っ!?」 すると、急に彼は顎に添えていた手で私の首を締め上げた。 ギリギリと生々しい音が聞こえる。 だんだん足元が浮いて来て。 息が出来なくて、少しずつ目の前が霞んで来る。 一生懸命に彼の手を解こうとするが、どんなに足掻いても彼の手は緩みはしなかった。 この時ほど、自分が戦闘型ではない事を呪った事は無い。 両手で彼の腕を掴み、一生懸命睨み付け、無駄とも思える抵抗をした。 「…………っ!!」 もう声を出す隙間も無く、暴言を吐く事も、その顔に唾を吐きかける事も出来なかった。 「……良いねぇ、その表情……。」 しかし、私が思い切り睨んでいると、不意に彼はそう言って笑い、手の力を緩めた。 ドサッと言う音と共に、地面の感触が戻ってくる。 「……ッハ、がっ、は……!」 目からぼたぼたと零れ落ちる涙は地面を濡らし、私が空気を求める音だけが響いた。 喉元を押さえ、一生懸命に空気を吸い込む。 体が求める行動に、自分の行動が追いつかず、余計に混乱する。 すると、そんな私の横に、彼がスッとしゃがみ込んだ。 「お前さぁ、気に入った。オレと一緒に来いよ。」 ニッコリと、屈託の無いような笑みで言ってくる。 今までの行動と、この言動の違いは何だろうか。 噛み合わない。おかし過ぎる。 私は、その怒りを抑えきれず、無謀にも彼に殴りかかっていた。 「……馬鹿じゃねぇーの?」 しかし、速さも力も無い私の攻撃など、彼に当たるはずが無かった。 彼は逆に私を殴り倒し、頭を押さえつける。 「オレに敵うとでも思ったのか?お前はオレの言う事を聞いていれば良いだけなんだよ。」 体の芯まで凍えてしまいそうな冷たい声。 じわりと押さえつける手に力が込められて行く。 そう思ったら、急に頭を掴み上げられた。 「オレはお前が気に入ったのさ。だから、ずぅっとオレの側に置く。……オレが飽きるまでの間、ね……。」 耳元で憎そうに、愛しそうに、そう囁いて。 彼は、地面で擦った私の頬の傷を舐め上げた。 彼との出会いから、私の自由は無くなった。 何処へ行く時も彼の側を離れる事を許されず。 彼が無残にナビを殺している時も。 悪戯に破壊や殺戮を繰り返す時も。 ずっと側でその光景を見なければならなかった。 拒絶に目を閉じれば耳元で生暖かい彼の声がして。 目を開ければ、その悲惨な光景に顔を歪める。 そんな私を、彼はとても嬉しそうに見ていた。 「本当に、お前は良い表情をするねぇ……。」 彼は、そんな私に、同じ言葉を何度も言った。 何度か逃げようとしたけれど、その度に見つかり、いたぶられる。 デリートしない程度にじわじわと、精神をも狂わせるような攻撃。 何度やっても結果は同じで……。 いつの間にか、私は抵抗する事を諦めていた。 時に冷たく、時に優しく言葉を囁き。 彼が私を抱きしめるのを、拒絶する事は出来なかった……。 「もうそろそろ、タイムリミットだね。」 ある日、彼はまた屈託の無い笑顔でそう言った。 自分に告げられた死の宣告。 突きつけられた現実が、本当の事だと思いたくなくて。 否、自分の事だとは思えなくて。 彼が残念そうに、苦笑する様を、ただ見ていた。 「どうせならずっと側に置いておきたかったけどねぇ、お前は…オレのモノになるんだよ。」 今までも十分に私は彼の物と呼べる存在だった気がするが。 それでも彼は満足出来なかったのか。 「オレの一部に…これはさよならではなく、始まりだよ……。」 そう言うと、私の腹部に鈍い衝撃が走った。 「…………っ!?」 見ると、彼の腕が自分の腹を貫いている。 余りにも突然の事に、自分の体に起きている事が理解出来ない。 ズルリ……ッ ゆっくりと抜かれた彼の腕には、データに混じって血のような物が付いていた。 「うん、綺麗だよ……。」 その血をゆっくりと味わうかのように舐めながら、彼は私を見下ろした。 もうすでに力は入らず、地面にくず折れていた。 「……っは、ぁ…、は……っ。」 上手く息が出来ず、涙が出る。 それでも何故か、痛いとは感じなかった。 ただただ、冷たい。 冷たくて、恐ろしい。 まるで彼の瞳のように…、どこまでも、体が沈んでいきそうだった。 「君はオレの一部になるんだ……。オレに吸収されて…オレの中で生き続ける……。」 そんな私に、彼はしゃがみ込んで近付いて来た。 「これからの戦いでオレ以外の誰かに殺されるよりは…、その方が良いだろう……?」 耳元で囁かれる言葉。 すでに朦朧とした頭に、何重にも響く。 だんだん分解されていくデータが、彼に吸収されていくのが分かる。 自分が、彼の一部になって行くのが。 「抵抗しなければ…痛くはないよ……。君はオレの物……。そう……。」 私の髪を指で梳いていた彼は、そう言って、私の涙を舐め取った。 「……綺麗だよ………。」 私の耳に、最後に届いたのは、甘く切なそうな彼の声だった……。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「……ぇ゛〜〜〜っと、言い訳しないから許して。」 DS・「お前さぁ…、いい度胸してるじゃん……?」 ハム猫・「ぎゃーーー!ニッコリ笑顔が恐ろしいっ!!ご、ごごごゴメンナサイ!愛余って書いちゃった……っ!!」 DS・「愛って言うか…、これはどうなのさ。良いの、こんなモノ書いて?」 ハム猫・「さぁ?」 DS・「…………。」 ハム猫・「いやっ、だってさ!DSで普通にラブラブとか出来そうに無いしさ!この方がある意味らしいかな、と……。」 DS・「ま、オレが実際どうするかは秘密だけどね。」 ハム猫・「今回は、直接的な表現を使わずどれだけエロい雰囲気を出すかを頑張ってみたつもりです。つもりです。あくまでつもり。ぇ、すでに使ってる……?」 DS・「ま、エロ書けないお前にしては頑張ったんじゃない?読んだ側がどう感じるかは置いといて。」 ハム猫・「テヘ☆まぁ、感じる云々の前に偽者全開だから・Ne!」 DS・「あっはは、修行のためにオレの夢量産するってのはどう?」 ハム猫・「あはは、そんな事したら裏な雰囲気充満しちゃうじゃないですか☆」 DS・「良いじゃん、どうせ書きたいんだろ?」 ハム猫・「ぐぬぬ…っ、ね、ネタが出来なきゃ書けませんって!そんな訳で、突発的DS夢、読んで下さって有難う御座いました!」 DS・「ま、また何処かで運良く会えたら、その時ね……。」 |