MaHa弐番店内キッチンのサイバーワールド。 いつものように、WWWのナビ達が集まり談話している。 しかし、その中に一人だけ様子がおかしい者がいた……。 ーーー夢色想いーーー
「でさぁ〜、その時まどいってば……。」
皆で楽しく話していると、フと目に入った。 「どうしたのさ、エレキマン?ぼーっとしちゃって。」 一人輪から外れて上の空。 そんなエレキマンの目の前で、カラードマンは手を振った。 「…………。」 しかし、エレキマンは無反応。 「む〜〜〜っ。」 そんな反応に良い気をしなかったカラードマンは、急にエレキマンの目の前で両手を叩いた。 パチンッ
「…………っ!?」
その途端、エレキマンが我に帰る。 「……っ、ぇ、皆…どうしたんだ……?」 三人が自分を不思議そうに見ている事に気付き、目を丸くする。 「どうした、じゃないよ。それはこっちのセリフ!」 エレキマンの態度に、カラードマンは腹を立てたように言う。 「さっきから上の空だったが…、何かあったのか……?」 困惑するエレキマンに、ファイアマンが尋ねた。 「何か悩みがあるのなら、私達に相談して下さいね。」 マジックマンも声をかける。 「……ぁ…、いや…、その……。」 そんな三人の言葉に、エレキマンは俯く。 「……夢を…見たんだ……。」 そして、ポツリと呟いた。
「「「夢?」」」
エレキマンの言葉に、三人同時に声を上げる。 「夢って…、どんなだよ?」 何となく言い辛そうにしているエレキマンに、ファイアマンは聞いた。 「……ぇえっ!?いや、その…、それは……っ。」 その瞬間、パッと顔を上げたエレキマンは、赤面していた。 三人の興味深そうな視線に、キョロキョロと視線を泳がす。 この時点でどう言う言葉が出て来るかは、三人には見当が付いたが、面白そうなのでそのままでいた。 「……ぁの…、その…、…と、そ、その、き、キ、…キス…する夢……。」 良く良く耳を澄まさなければ聞き漏らしそうなほどに小さな声で、エレキマンは言った。
(((……やっぱり……。)))
これ以上は無理だと言うほどに赤面した彼を見ながら、三人は胸中で思う。
本当に純情と言うか素直と言うか……。
その真っ直ぐな想い故に、聞いてる方が恥ずかしくなるような事を言う。
「ぁ、あのっ、その、これは…には言わないでくれよ……っ!?その、聞かなかった事に……!」
言った後で後悔の波が押し寄せて来たのか、エレキマンは三人に手をわたわたと振りながら懇願する。 今までの経験からして、遊ばれる可能性が高かったからだ。 しかし……。
「エレキマン。」
ポン、と肩に置かれた手。 その方向に顔を向けると、そこには輝かんばかりの笑顔を湛えるカラードマンがいた。 「……ぇ゛……。」 その瞬間、またも嫌な予感がする。 その表情には、ありありと「面白い物見つけた」と言う気持ちが読み取れた。 「ナビが夢を見るわけ無いじゃない。それは…、君の妄想だよ……!」 楽しそうに、優しい口調で爆弾発言をするカラードマン。 「な……っ!?も、もうそ……っ!?」 そのカラードマンの発言に、驚きで言葉を詰まらせるエレキマン。 「そうだな……。お前、とうとうそこまで……。」 ファイアマンは、そんなエレキマンを見て腕を組むようにうんうんと唸った。 「いや、でもそれが真っ当な男ってもんよ!胸を張って良いんだぜっ!!」 そして、エレキマンの肩に腕を乗せて、頷く。 「そうですとも、それが健全な反応ですよ、エレキマン……。」 マジックマンまでもが、遠巻きに見守るように言う。 「いや、ちょっ、待ってくれ!オレは、別にそんな……っ!!」 そんな三人の言い分に、言い返そうにも良い言葉が浮かばない。 「そうだよなぁ、とあ〜んな事やこ〜んな事したいんだよなぁ!」 ファイアマンは、一人混乱して益々顔を赤くするエレキマンを無視して高らかに笑う。 「なっ、何だよ!あんな事って……っ!!」 そんなファイアマンの腕を払いのけ、エレキマンはキッと睨む。 「ま〜たまた、そんな事言って〜〜〜。いっつもの事考えてるくせに〜〜〜。」 真剣に睨んでいるエレキマンの横腹を、カラードマンが突付く。 「……っ、違っ、そんなに考えてない……っ!!」 突付かれてバランスを崩しながらも、エレキマンは言い返す。 「”そんなに”?へぇ〜〜、じゃあどれだけ考えてるのかな〜〜〜?」 ああ言えばこう言う。 その連続で、エレキマンは何を言っても空回りばかりだった。 三人で組まれたら、到底敵わない。 何で毎回こうなってしまうのか……。 そうこうしている内に……。
「あ、休憩時間終わりだ〜〜〜。」
そう言って、カラードマンはキッチンが映る画面の方を見る。 「さて、仕事仕事〜〜〜!」 やっとエレキマンから離れ、他の事に意識を移してくれるかと思えば……。 「あ、〜〜〜!エレキマンがねぇ、とイイ事したいらしいよ〜〜〜?」 丁度キッチンに現れたを呼び止めた。 「……ブッ!?」 耳に入った爆弾発言に、エレキマンはつい噴出す。 「ちょっ、何言って……っ!?」 駆け出し、誤解を解こうと思ったが……。 『へぇ〜〜〜、良い事?何だろう〜〜〜?』 PETから見える彼女は、全く内容は分かっていないような笑顔。 エプロンを締め直し、午後の仕事へのやる気を入れ直している。 「…………っ。」 そんな、話の流れを分かっていないような彼女を見て、ほっと胸を撫で下ろす。 今は…今だけは、彼女が鈍感な事に感謝したい。 「いや…、まぁ、なぁ……。”イイ事”っつったら…やっぱり……。」 そんな彼女を前に、ファイアマンが口を開く。 「カレーーー……っ!!」 エレキマンは、そんなファイアマンに駆け寄って押し退けながら、に向かって大声で叫んだ。 「……カレー……?」 唐突なその発言に、小首を傾げる。 「そ、そう!その…、ぃ、良い事って言うのは…っ、そう、か、カレーを…一緒に作りたい…なって……っ。」 元々嘘を吐くのは下手だと思っていたが、本当にこれくらいしか思い付かない自分が恨めしく思えた。 嫌な汗がどんどんと吹き出てくる中、彼女の反応を待つ。 「……っ、良いねーーー、それ……っ!!私も一緒に作りたい……っ!!」 しかし、彼女の反応は予想外の物だった。 目を輝かせ、ポンと手を打つ。 「あのね、あのね!これは内緒なんだけどねっ、今こっそりオリジナルのカレー考えてるんだ!今度内緒で一緒に作ってみようか……っ!!」 キラキラと純粋な瞳でエレキマンを見つめて来る。 その疑う事を知らない瞳に、居た堪れなくなるエレキマン。 「……ぁっ、その、オレは……っ!!」 目の前の彼女と目を合わせられなくて。 この想いが自分でも抑え切れなくて。 有り得ない希望を思い描いてしまう。 目の前の彼女は、こんなにも純粋なのに……。
そんな自分が許せなくて。
遣る瀬無くて。 「……あ、あぁ……。いつか…、出来たら……。」 彼女には曖昧な返事をして、エレキマンはその場を駆け出した。 今は、彼女と向き合っている勇気が無かった。 自分はそんなに彼女に触れたいのか。 彼女を…、彼女を求めているのか……。 エレキマンは、自分のこの感情をどうしたら良いのか分からなかった。
「……ハァ…、ハァ…、ハァ……。」
暫く走って、息が切れて立ち止まった。 汗が流れる。 それでも、心のもやもやは取れなかった。 「お〜〜〜ぃ。」 そんな時、後ろから仲間の声がした。
「…………っ。」
振り返ると、そこには三人が。 自分を追いかけて来てくれたのか。 「……ぁ、す、すまない…勝手に走り出して……っ。」 そんな三人に、エレキマンは頭を下げる。 「別にさ、良いんじゃない?」 そのエレキマンの言葉は無視して、カラードマンが言った。 「……え……?」 何を意味するのかが分からず、キョトン、と首を傾げる。 「だってさ、それが”好き”って気持ちでしょ?」 カラードマンの言葉に、両脇の二人が頷く。 「……カラードマン……。」 彼の言葉に、エレキマンはただその名を呟く。 「エレキマンがの事を考えていてもたってもいられなくなったり、そう言う事考えたりするのは、それだけの事を好きって事だよ。胸張って良いんじゃない?」 ヒラヒラと手を振りながらカラードマン。 「そうだぜ。好きって気持ちに、ナビも人間も関係無いだろ。」 ファイアマンも続く。 「私達はむしろ、そこまで想えるあなたが羨ましいですよ。」 珍しくも真面目な言葉をかけてくれる仲間に、少し涙が出かけて。 エレキマンは少し、俯いた。 「はは…、何かオレ、情け無いな……。」 自分のこの気持ちに不安になるだなんて。 への想いは、誰にも負けないはずだったのに。 「そう…だよな……。オレ…、もう少しは頑張っても良いよな……。」 彼女との距離を少しでも縮められるように。 鈍感な彼女に、少しでもこの気持ちが伝わるように。 もう少し、頑張ってみようかと思う。 「……皆、有難う……。」
エレキマンは、ゆっくりと顔を上げると笑顔でそう言った。
皆が…、仲間がいて良かった。 素直に、そう思えた。 エレキマンのそんな笑顔に、三人も笑い返す。
「あ、そうだ。から言付けだよ。『カレー作るの楽しみにしてるね』だってさ。」
そんなエレキマンに、カラードマンが言った。 「…………!そっか……。」 その言葉を心の中で噛み締めながら、エレキマンは少し頬を染めた。 「因みに、には『エレキマンはを見るとたまに抑えが利かなくなる病気なんだよ』って説明しといたから。」 「落雷っ!!」 カラードマンが言い終わるか終わらないうちに、一帯に雷が落ちた。 やっぱりこいつら、油断ならない。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「終われ。」 エレキマン・「……大丈夫だ、もう終わってるから……。(色んな意味で。)」 ハム猫・「本当は男の子な会話が書きたかっただけなのに……っ!!何でこうシリアスっぽいのが入るかなぁ……。ギャグだけで終わらせたかった……っ。」 エレキマン・「しかも、微妙にずれてるんだよな、お前の場合。」 ハム猫・「いや、今回は推敲もせずに短時間で書いたから……っ!!って言い訳して良いですか?」 エレキマン・「…………。はぁ……。本当に、オレってどうなるんだろう……。」 ハム猫・「大丈夫!きっと少しずつ進んで行くから……っ!!」 エレキマン・「それ、前も聞いた気がする。凄い遠回しな言い方で。」 ハム猫・「うん、いや、でも私の中でエレキマンは普通に男の子です。気が付けば考えてたりとか。純粋にね?」 エレキマン・「お前が言うと不純に聞こえるんだがな……。まぁ…、期待せずに待っとくよ。」 ハム猫・「うん、そうしてくれたまえ。それでは、ここまで読んで下さって有難う御座いましたっ!!」 |