「六方さん六方さん六方さーーーんっ!!」 バターーーン! と、大きく音を立てて入って来たのはだった。 ーーー恋の誘導尋問ーーー
「あぁ、やっぱりここだ……!」
扉を開けた先は、ここ、グリーンタウン裁判所の仮眠室。 入り口の真っ直ぐ前にソファーが一つ置かれていた。 「もぅっ、六方さん、裁判始まっちゃいますよ!」 足早にそのソファーに近寄り、声をかける。 探していた人物は、ソファーの上でスヤスヤと眠っていた。 「眠たいなら、ちゃんと寝て来て下さい〜〜〜っ!!」 そう叫びながら体を揺さぶるが、当の本人は少し身じろぎをしただけで変化は無かった。 それ以前に、糸目なので目を開けているのか閉じているのか分からないのだが。 「ねぇ、ジャッジマン、六方さんっていつもこうなの?」 近くの机に置かれているPETに話しかける。 『……そうだな。』 六方のナビ・ジャッジマンは、暫し考え、静かに頷いた。 「もぅ…、いつも起こしに来る私の身にもなって下さいよ……。」 そう呟いても答える者はおらず。 「いっつも法廷ではあんなに鋭く相手の隙を突くのに、人の気持ちには鈍感だし……。」 そう言って、目の前の六方を見る。 「……そうやって、いつまでもぼーっとしてたら、嫌いになっちゃいますよ……っ。」 小さく小さく呟いて、憎らしさに少し鼻を軽く摘んだ。 「人の鼻摘むの止めてくれない?」
「……ぅわ……っ!?」
眠っているのかと思いきや、むぎゅ、と摘んだ途端、六方の声がした。 「ぉ、おお…、起きてたんですか……っ!?」 余りの驚きに尻餅を付きつつ、後ずさる。 「うん。まあね。」 驚きで一杯一杯なを他所に、六方はむくりと起き上がる。 「で、君の気持ちがどうしたって?」 ソファーに座り直し、小首を傾げる。 「じ…ジャッジマン!騙したわね……っ!?」 いつものニッコリとした微笑みを向けられ、はジャッジマンに叫んだ。 『私は何も騙してはいないぞ。……狸寝入りがいつもの事だ、と言ったまでだ。』 「あ、酷いなぁ、ジャッジマン。狸寝入りって何か聞こえ悪いよ。」 未だに尻餅をついたままなをよそに、六方はジャッジマンに文句を言う。 「ぃ、いつもの事って……っ。じ、じゃあ、今まで…、全部…っ、実は起きてたんですか……っ!?」 「うん、そうだね。」 何の悪びれるそぶりも見せずに、六方はけろりと言う。 「…………っ。」 その返答に真っ赤になる。 今まで、彼が寝ていると思い込んでいたが、何か変な事を喋っていなかったろうか。 自分の気持ちがバレるような事を。 「な…、でも、何でそんな事を……っ。」 「だって、ここで寝てれば、が起こしに来てくれるし?」 「は……っ!?」 六方のとんでもない回答に、顔が引きつる。 「何だか一生懸命起こすが可愛くってさ。ついつい困らせたくなっちゃって。だから、今までのは全部寝たフリ。」 そう言って、楽しそうにニコリと笑う。 「……は、は……。」 六方の追い討ちに引きつった顔は元に戻ってはくれず、乾いた笑いが口から漏れるだけだった。 「で、改めて、君の気持ちがどうしたって?」 そんなを見て、六方は小首を傾げる。 「……ぇ……っ!?」 先程からの六方の信じられない告白に、固まっていた頭が現実に戻る。 「人の事鈍感とか言ってたけど…、そう思うなら、直接聞かせてくれても良いよね?」 「……ぁ、あ、はは……。」 完璧に遊ばれてる……。 とても楽しそうに微笑む六方を見て、はそう確信した。 「ぁ…、は…早くしないと裁判始まりますよ……っ!?」 精一杯の知恵を絞って、この状況から脱しようとしたけれど、それも六方には効かなかった。 「ん〜〜〜、今言ってくれなかったら、裁判中気になってへましそうだなぁ……。」 「ぅ゛……っ。」 思い悩むように、呟く。 「流石の審判の木も、正確な情報を得なければ判決を間違うだろうし……。」 「ぅう゛……!」 凹むに、更に追い討ちをかける。 「って事でさ、これはきっと正義のためでもあると思うんだけど?」 何をどう解釈すれば、正義のための告白になるのか問いたかったが、満面の笑顔な六方の前では、どんな言葉も無意味に思えた。 「ぁあう…、だ、だからぁ……。」 「だから?」 ニッコリと笑う六方の前では、逃げ場は無かった。 「だ、から…、その…わ、私は……っ。」 絶対、絶対に、六方さんは私の気持ちなんか知ってるはずだ。 そう確信したけれど、もう本当に裁判が始まってしまう。 私が気持ちを告げるまで、きっとこの人は梃子でも動かないのだろう。 「六方さんの事が……っ。」 目の前で涼しそうな顔をしている六方とは対照的に、耳元で心臓の音が煩いくらいに響く。 「す、……。」 六方にとっては、こんなのただの答え合わせにしかならないだろうに。 「……好きなんです……っ!!」 ……それでも、言ってしまうのは、惚れた弱みだろうか……。 「はい、良く出来ました。」 恥ずかしさに目をつぶって叫んだは、頭の上にポン、と感触を感じて目を開けた。 「じゃあ、行って来るから。」 すぐに横で声がしたと思えば、六方が颯爽と通り過ぎる。 部屋の扉まで行くと、クルリと振り返って微笑んだ。 「返事は、裁判の後、ね……?」 そう言って、部屋を出て行った。 「は、はは……。」
一人残されたは、一気に緊張の糸が切れ、床に突っ伏す。
きっときっと大丈夫、そう思いたいけれど。 裁判が終わるまでの時間、自分はどうやって過ごせば良いのか。 今日この時だけは、今までみたいに法廷で六方の隣に立ってはいられないと思い。 一人、部屋に取り残されるなのだった……。 〜〜〜後書き〜〜〜 ハム猫・「嫌なタイトル……っ!!」 六方・「自分で付けときながら行き成りそれ?」 ハム猫・「だって…、思いつかなかったから適当に……。」 六方・「あのねぇ……。」 ハム猫・「タイトル付けるの苦手なんですってば。まぁ、お気になさらず。」 六方・「審判の木の辺りも曖昧だよね……。」 ハム猫・「うん!(自信満々。)時期的には、まぁまだ六方さんが真面目に正義に燃えてた頃と言う事で……。」 六方・「酷い言い様だなぁ、それ……。」 ハム猫・「……って、溜息吐きながら何やってるんですか六方さん?」 六方・「え、あぁ、君の今までの行動を審判の木に入力して裁かせてみようと思ってね♪」 ハム猫・「ぎゃーーー!止めて……っ!!」 六方・「ふふ、駄ーーー目。まぁ、これからちゃんと作品書くなら許してあげるけどね。」 ハム猫・「ネタがあれば書けるけど、今裁かれたらそれも無理になりますってばっ!!」 六方・「……有罪になる自信満々なんだね……。ま、良いや。まだ一個目だしね。また会えるかは分からないけど、今回はここまで読んでくれて有難う。少しでも楽しんでくれたのなら僕も嬉しいな。」 |